そして、これは別に子供たちに限ったことではないらしい。いまや1日の何時間をスマホ、タブレット、PCを見る時間に費やしているかというと、私自身、1日の約80%は公私ともで画面を見ているし、いま住んでいる地域の自然との関わりのある生活があったかと言えば、全くなかった。なかったというより、意識をしていなかった。
妻とも相談し、私自身の体調のこと、家族との時間のこと、そして子供たちが自然と向き合う時間を意識的につくろうということになった。そこで、それらに纏めて応えるべく、近所の市民農園を借りることにした。
著者提供
デジタルと自然のバランスを意識
市民農園を始めるに際して、3つのことを行うことにした。まず、現場実査である。既に数多くの農園事例が目の前にあるので、何を植えていて、どういう配置で、資機材は何を使っているのかなど、実事例の収集をした。
次に、某農業大学の生協に行き、農業に関する基礎科目の教科書を入手した。そこで、素晴らしい本に出合った。アルバート・ハワードという人が著した『農業聖典』という本だ。
現代の代表するキーワードはDXや第4次産業革命であるが、デジタル化は、既に農業の世界にも入り込んできており、世界的な人口爆発を支えるだけの農業生産について、さまざまなイノベーションが起こっている。代替肉のように、自然環境により配慮した食べ物も開発されている。
一方、『農業聖典』では、生産性と効率化を重視しない農業(有機農業に近い概念)が提唱されており、この本との出合いは、本業のテーマの一つであるESG(Environment、Social、Governance)、レジリエンス(変化への適応力)やサステナビリティを考えるうえでも参考となった。
仕事や社会全体がDXに向かうのであれば、意識的に自然とのバランスを取る、そのような観点からのワークライフバランスについて考えた。とはいっても、農業は素人なので、まず基礎教養を勉強して、わが家でやりたい農園計画を整えた。