スターとは何か。ライダーにフォーカスすることで何を狙うのか。2020年よりデザインセンターからクリエイティブセンターに変更し、プロダクトデザイン中心の役割からブランディングやマーケティングなど、より幅広い範囲での“デザイン活用”を狙っているヤマハが目指す未来を、執行役員 クリエイティブ本部長 兼 クリエイティブ本部ブランドマーケティング部長の長屋明浩氏に聞いた。
ブランドとユーザーをつなげる
──今回クラウドファンディングを始めた理由は?
社内で進めている取り組みの一つとして、外部のクラウドファンディングを展開しています。これは、実は2019年からビートラックスさんからもコンセプト作りからサポートしていただいている「ブランドファンディング」プロジェクトの第一弾という位置付けになります。
長屋明浩|ヤマハ発動機 執行役員 クリエイティブ本部長 兼 クリエイティブ本部ブランドマーケティング部長
──その「ブランドファンディング」とは?
ブランド資産を経営資産に変換することをゴールとして、ユーザーとブランドが対話しながらプロダクト提供を行う、これまでにない新しい形のサービスモデルです。日本国内に存在している数多くのヤマハファンとともに、ブランドの価値をしっかりと体感してもらえるような体験を通じて、モノやコトを届けるのが目的となります。
特にデジタル化が進む現代において、メーカーがモノだけを売る時代が終わり、そのブランドが持つ存在意義 = パーパスに共感してくれるファンに対して、コトを背景に思いを伝えることが重要になると思っています。それが「ブランドが問う」という考え方です。
バイク乗りをヒーローに
──第一弾である「FIST-AID」に込められた思いとは?
今回のクラウドファンディングでは『FIST-AID』と名付けられたパッケージを提供しています。これは単純に商品を販売するのではなく、そこに込められたストーリーや、我々の思いに共感してくれる人たちを集め、バイクに乗っている人たちをヒーローにする、という狙いがあります。
ライダーの心に火を付ける仕掛け。応急処置のハンドブックや修理キット、そしてプライドを示すステッカーがクラファンされている。
具体的には、震災などの自然災害が起こった時に、ライダーの方々自身だけではなく、その周りの人たちに対しての支援をライダーが行うというイメージです。この思いに共感してくれる人たちを多く集めることで、社会に対してポジティブな影響が与えられればと感じています。