問題のある行動は▽請求書の支払いをしない▽異常な出費をする▽明細書の封を切らない▽アドバイザーに同じことで何度も電話をかける──など多岐にわたる。
RBCは、こうした問題行動は詐欺や個人情報の窃取、経済的虐待といった被害につながりかねないと警鐘を鳴らしている。
また、認知症の家族を介護することが予想される人には、その家族の法的・経済的能力の変化に備えた計画をあらかじめ立てておき、実際に認知症と診断されればすみやかに実行に移すことを勧めている。
RBCによると、認知症は「米国で最もお金のかかる病気」で、介護費用は75万ドル(約7900万円)を超えることが珍しくない。
その費用を患者本人と分担した介護経験者は全体の83%にのぼっている。
勤務時間を短縮して家族を介護している人は、年間で所得を平均3万8000ドル(約400万円)失っている。また、介護のために早期退職した人も年3万5000ドル(約370万円)の賃金が消えた計算になるという。
個人の経済的負担が大きいことから、RBCは介護にあたる人に対して、保険でカバーできる費用を確認することや、費用のうち自分で引き受けるものと本人の財産から支払うべきものを調整することも助言している。
RBCが比較のために挙げている数字を引くと、私立大学で4年間で学位を取得するのに必要な学費や生活費などの総費用が平均20万ドル(約2100万円)なのに対して、アルツハイマー病の患者が高齢者施設に5年間入居した場合の費用は平均で45万ドル(約4700万円)を超える。
RBCの担当者はリポートのなかで、家族が認知症患者の長期的な介護に備えて貯蓄するのは、子どもの大学進学費用を積み立てるのよりも難しいと指摘している。認知症患者の介護費用のほうが高いうえ、大半の人は自分が認知症にかかることは考えたり話したりしたくないからだ。
米国でアルツハイマー病などの認知症や、その他の記憶障害をともなう病気を患う患者と同居する人は、2040年には現在の2倍の1160万人近くに達すると予想されている。
今回の調査は、上位富裕層とそれより下のマス(大衆)富裕層で、過去に家族を介護した、あるいは現在介護している人1000人を対象に、2019年11月から12月にかけて実施された。
10人に9人近くは、認知機能が衰えた家族の代わりに、過去に金銭管理を行ったか、現在行っていると回答している。