日本人ら4人が搭乗する宇宙船が「レジリエンス」と呼ばれる理由

5月30日に行われたデモ2ミッションの打ち上げ (C) SpaceX

NASAとスペースXは、クルー・ドラゴン宇宙船の初めての運用ミッションの日程を発表した。クルー1と呼ばれるこのミッションは、10月31日土曜日のハロウィンにフロリダ州のケープカナベラルからファルコン9ロケットで打ち上げられる予定だ。

乗船するのは、NASAのマイケル・ホプキンス、ビクター・グローバー、シャノン・ウォーカーの3名の宇宙飛行士と、日本人宇宙飛行士の野口聡一の4人だ。

宇宙船は打ち上げから1日後の11月1日にドッキングを行ない、宇宙飛行士らはISSに入り、クルーの一員となる。今週初め、クルー1の宇宙飛行士たちは宇宙船の名前を含むいくつかの興味深い事実を明らかにした。

「今回のミッションで用いる宇宙船は『レジリエンス』と命名された」と、ミッションの指揮官であるホプキンスは語った。「レジリエンスという言葉は、ストレス時であっても機能を保ったり、逆境を克服することを意味している。恐らく全ての人が、2020年が困難な年だったと考えているはずだ」

5月30日、スペースXは「デモ2」と呼ばれる初の宇宙飛行士の打ち上げで、歴史に名を残した。アメリカ国内からアメリカ人が宇宙に飛び立つのは、スペースシャトルの有人飛行計画を9年前に中止して以来のことで、民間企業による有人宇宙船が軌道に向かうのは、史上初だった。

ボブ・ベーンケン宇宙飛行士とダグ・ハーリー宇宙飛行士は、ISSに約3カ月間滞在し、8月初旬に地球に帰還した。この打ち上げでは、宇宙飛行士が陸地ではなく、海上着水方式で帰還する「スプラッシュダウン」に成功した事も注目を集めた。

しかし、着水の際に民間の船が着陸地点に近づいたため、クルーが危険にさらされる可能性もあった。今回実施される打ち上げで、NASAは沿岸警備隊と密接な連携をとり、同じ問題を起こさないようにすると述べている。

また、前回のデモ2で宇宙に向かったのは2人の宇宙飛行士のみだったが、クルー1では4人が参加する(クルードラゴンは最大7人が搭乗可能となっている)。

宇宙飛行士は来年4月まで宇宙に滞在


4人の宇宙飛行士は、ISSでのローテーションスケジュールに組み込まれ、長期滞在プログラムのエクスペディション64のメンバーとして、2021年4月頃までISSに滞在することになる。

搭乗中、クルーは多くの実験を行う予定だ。NASAの女性宇宙飛行士のケイト・ルビンスやロシアの宇宙飛行士セルゲイ・リジコフ、セルゲイ・クド・スベルチコフらと共に、彼らは宇宙でラディッシュを栽培したり、医薬品をテストしたり、新たなトイレの設置も行う。

クルーはまた、いくつかの宇宙船を出迎えることになる。その一つはボーイング社が開発を遅延させているCST-100スターライナー宇宙船で、これは今年の後半か来年の初めに、無人の試験飛行を経てからになっている。

さらにアメリカの宇宙飛行士たちは、宇宙ステーション内で米国大統領選挙の投票を行う予定だ。「私たち全員が宇宙から投票する予定だ」とウォーカーは話した。

10月31日は、“死後の世界の扉”が開き、死者がこの世に戻り、悪魔や悪霊がウロウロするとされる不気味な日でもあるが、打ち上げに向けてNASAとスペースXは現在、最終チェックを進めている。

編集=上田裕資

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