ビジネス

2020.09.28

「上場のための法人カード」事業から法人間決済に変革を、スタートアップの挑戦

左から、ANRIの河野純一郎、アップサイダー代表取締役宮城徹、DNXベンチャーズの倉林陽、グローバル・ブレインの立岡恵介


目指すのは法人間決済の変革者


宮城たちの挑戦に対して投資家たちは次のように期待する。

「まずはカード決済という古く変わらない構造を持つ大きな市場に切り込む。その後、BtoBトランザクションの世界までディスラプトできれば、大きな市場機会があるはずだ」(DNXベンチャーズの倉林陽)

ANRIの河野純一郎は「法人カードをはじめ、法人間決済の仕組みを短期間で変えることはできない。10年、20年という長期的なスパンで変えていくものだろう。起業家、そして経営陣として、この長期的な挑戦に対して、いかに主体的に構造を変えていくという強い思いを持ち続けられるか。それが鍵を握る。創業時から見てきた、宮城さんとこの経営陣なら達成できるのではないか」と期待する。

そう語る背景には、サービス開始までのトラブルに対する宮城らの姿勢があったという。最大の事例は、サービスの基幹となるシステムを提供するはずのパートナーとの交渉が破談になったことだ。

「問題発覚から行動までが早かった。すぐに海外に飛び、事実確認、交渉をし、帰国後に僕ら投資家に向かって次の選択肢について、メリット・デメリットを説明していた。事実を事実のまま伝えて、迅速にオプションを洗い出し、行動する。その誠実さは、投資家だけでなく顧客に対しても徹底している。それがこのチームの強みだろう」(河野)

グローバル・ブレインの立岡恵介も次のように話す。「起業家として正直で、かつ、課題に対して、スピーディに解決し、プロダクト改善につなげている。サービス開始以降、一社も顧客が離脱していないこともそれを示しているだろう。一歩先の信頼を勝ち得ていこうという姿勢が、金融業を変革する経営者像だと思う」

宮城たちUPSIDERが見据える未来は法人カード事業だけにとどまらない。「法人間決済を呼吸感覚まで簡単にするというのが私たちの目標だ。30年前に法人間の決済が手形から銀行振込に置き換わった。その流れがもう1度起きるはずだ。中長期的な視点を持って伴走してくれる投資家たちを含めてベストなチームを組めたと思っている」

文=揚原安紗佳、写真=帆足宗洋

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