人材マネジメント協会(SHRM)が5月下旬から6月上旬にかけて中小企業の経営者400人以上を対象に実施したこのアンケート調査では、新型ウイルス流行のような危機が再び生じた場合への備えが以前よりもできていると答えた割合は75%ほどだった。
さらに、回答した中小企業の52%が半年以下でコロナ前の収益を回復することを見込んでいた。SHRMのリズ・スピンスキ調査商品部長は、新型ウイルスが「イノベーションの大きな原動力となった」と述べている。
多くの中小企業は、新型ウイルスにより生じた制約に適応して新たな商品を開発。回答企業の3社に1社はサービスを提供する新たな方法を見つけたと答えている。「それまで変化が難しいという理由で否定されてきた多くのアイデアに対して扉が開かれた。事業がおおむね順調なら、変化する必要などないでしょう?」とスピンスキは語る。
SHRMによると、中小企業経営者の43%が事業モデルの変更に踏み切った。こうした経営者の一人に、アレルギーに考慮したグルテンフリーのビーガンクッキーを販売するパーテーク・フーズ(Partake Foods)の創業者、デニース・ウッダードがいる。同社のマーケティングは実演や各地域でのイベントを多く含んでいたため、ネット上で宣伝する新たな方法を編み出す必要があった。新たな施策には、同じく人種マイノリティーや女性が経営するブランドと提携したキャンペーンを展開したり、インスタグラムやフェイスブックでのライブ配信イベントを企画したりといったものもある。
スピンスキは、企業活動が復活する中で、大小さまざまな企業がこうした順応性を発揮すると見込んでいる。中小企業の4分の3は、従業員の育児ニーズに合わせて方針を変更することを計画しているし、43%はフレックスタイム制あるいは短縮勤務制を導入したり、導入を検討したりしている。また、31%はフルタイムでの在宅勤務を許可している。
スピンスキは、「中小企業は大企業よりも従業員に対してより柔軟に対応できることが多いため、独特の立ち位置にいる。中小企業には大企業と同じような問題はない」と指摘。一方で、経済的余裕がない中小企業の多くはこうした支援策を取りにくいとも語った。