経済・社会

2020.09.18 06:00

炎上する地球 私たちはいつ行動を起こすのか

サンフランシスコの空がまるで終末を描いたSF映画のようなオレンジ色に染まったことは、私たち全員が直面している危機の深刻な規模を浮き彫りにしている(Photo by Philip Pacheco/Getty Images)

私たちはいったいいつまで、気候危機を放置し続けることでもたらされる影響を無視し続けるのだろうか。

米西部のカリフォルニア州とオレゴン州では大規模な森林火災により数十万人が避難を強いられ、延焼面積はわずか数週間で昨年1年分を超えた。だがそれでも私たちは、これが人類の活動による地球温暖化の直接的な結果であることを受け入れようとしない。サンフランシスコの空がまるで終末を描いたSF映画のようなオレンジ色に染まったことは、私たち全員が直面している危機の深刻な規模を浮き彫りにしている。

カリフォルニアとオレゴンだけではない。アマゾンの熱帯雨林も史上最悪ペースで延焼している。グリーンランドでは氷床の融解速度が毎年増加し、もはや回復不可能な状態となっており、海面上昇により数百万人が気候難民となる恐れが出ている。北極圏の気温は38度に達した。大西洋では今シーズンのハリケーンと熱帯低気圧の発生数が史上最多となる見通しだ。

生物多様性は人間の活動により前例のないペースで破壊されており、アイオワ州では暴風雨により壊滅的な被害が発生。ルイジアナ州ではハリケーン到来による洪水の影響で大量発生した蚊により、牛や馬が相次いで死んだ。「終末的」という言葉はもはや誇張ではない。

科学的な結論は疑いの余地がない。人類が排出する二酸化炭素は、地球を温室に変えることで死に至らしめている。昨年には、損害額が10億ドル(約105億円)を超える異常気象が15件発生した。気候変動は経済を破壊しつつあり、私たちが対策を怠るどころか事態を悪化させるような政治家に投票を続ける限り、経済危機は避けられない。

私たちは行動を起こす必要があり、その時は今だ。口先だけの約束や問題の先延ばしができる時期はもう過ぎた。私たち自身、そして地球上の多くの生き物の命を救うためには、抜本的で意味のある対策を取る必要がある。多くの人はいまだにそうした対策は無理だと思っているが、他の選択肢はない。今舵を切らなければ、将来待ち受けているのは大惨事だ。この事態を引き起こした技術を捨て、既に利用可能となっている代替手段に切り替えなければいけない。

気候危機は、過去最大の技術的課題をもたらした。私たちはエネルギー生産方法をコストや経済的な利害関係を無視して根本的に見直し、人間の活動が地球に及ぼす実際の影響を測り始め、自分自身にうそをつくことをやめなければいけない。

緻密な計画を立てるための余裕はもはやない。今すぐに、あらゆる方法で行動を起こさなければならない。つまり、個人レベルでできることを全て行うと同時に、政治家たちに対し、それがいくら不可能に思えようともできる限り全ての対策を取るよう、一丸となって要求しなければいけない。

もはや時間はない。これよりも重要性や優先度が高いものなど、他には存在しない。この声は誰かに届いているのだろうか?

翻訳・編集=遠藤宗生

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