テストの感度が高いほど、そのテストが良いものだというのがFDAの考え方だ。ペーパーストリップ検査は、現在活用されている標準PCR検査(鼻咽頭拭い液を使用)の、例えば半分の感度しかないと仮定しよう。そうなれば、ペーパーストリップ検査はPCR検査で検知されるウイルス粒子を逃してしまうだろう。これがFDAにとって、十分な感度とは言えないのだ。
しかしFDAは間違っている。隣人が体内に持つウイルス粒子が脅威とならない限り、隣人の体内にウイルス粒子があるかどうかを気にする必要はないからだ。感染リスクがない限り、診断結果は重要ではない。
感度が非常に高い検査では、対象者に他者を感染させるリスクがあり、他者にとっての脅威となる場合だけでなく、患者が回復してから数カ月たってもはや感染リスクがない場合でも、ウイルスの存在が検出されるだろう。これでは役に立たない。私たちが求めているのは、対象者が他者にウイルスを伝染させる時期のみウイルスを検知する検査だ。これこそ、ペーパーストリップ検査にできることだ。
ミナ博士は、過度に感度が高い検知システムを持つ消防署を架空の例として挙げている。この消防署では街中のどんなに小さな火も検知できるので、誰かがマッチの火を付けるたびに消防車はその場所に向かわなければならない。これは果たして、消防署にとって望ましいことだろうか?
ミナは、FDAが公衆衛生を促進することではなく診断と治療に焦点を当てることを意図した組織であることが問題だと指摘している。しかし、私たちが現在直面しているのは大規模な公衆衛生上の問題であり、私たちの唯一の懸念は感染だ。
トランプ大統領がこれまでに他の分野でそうしてきたように、緊急の大統領令を使ってFDAの焦点を変えることができるとすれば、今こそ行動を起こすべきときだ。