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2020.09.01 07:30

北野唯我がベストセラー本に書かなかった「これからの労働価値」

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その答えとしてよく言われるのが、いわゆる「文化」や「カルチャー」と呼ばれるものです。カルチャー、つまり、その会社が大事にしている、行動指針や、習慣となっていることです。たしかに、このカルチャーや文化、というのはとても重要ですし、会社を形づけます。しかし、私が思うのは、カルチャーや文化によるマネジメントには、ある弱点がある、ということです。それは二つです。
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ひとつは「今から作り直すのが、ほぼ不可能に近いほど難しい」ということ。たとえば、ビジネス界の世界でカルチャーが強い会社の代表格といえば、日本ではリクルート社でしょう。世の中には「リクルート用語」と呼ばれる言葉が存在し、「元リク」という言葉さえあります。強いカルチャーの代名詞と呼ばれます。

しかし、これは想像すれば容易いことですが、たとえば今あなたがリクルートの取締役だとして、今からこのリクルートの文化を作り直すこと、というのは現実的にできるでしょうか?

何年、何十年も続いてきたカルチャーや文化は、とてつもなく強いものです。反対にいえば、経営者が「文化やカルチャーを作り直す」というのは、ある程度の規模になると、ほぼ不可能なぐらい難しい、ということです。現に世の中には「カルチャーに関する組織本」が山ほど溢れていますが、それを読んで文化の作り直しに成功した、という経営者を見たことがあるでしょうか? 少なくとも私はありません。
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もう一つ、カルチャーや文化の弱点とは、「個別の人によって、賞味期限があること」だと私は思います。どういうことでしょうか?

社長やリーダーと、現場の間にはとてつもない「溝」がある


たとえば、若い頃は、猛烈に仕事をしたい、と思っていた人も、歳をとり、子どもができて、引っ越しもして、ある程度、給与がもらえるようになると、急に考えに変化が生まれたりするものです。

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Getty Images

これは当たり前の話です。経営者や、起業家、ビジネスリーダーという人は、恐ろしいほどにビジネスが好きな人がいます。何かに取り憑かれたようなまでにストイックだったりします。あるいは、事業や会社は人生そのものといっても過言ではないことも多い。

しかし、ほとんどの働く人にとってビジネスとは、一時的には熱中するときもあるけど、死ぬまでは続けられないもの、なのも事実です。

なにがいいたいか? それは二つです。ひとつは「どれだけ強い文化やカルチャーがあっても、一人の個人への影響力、という点では賞味期限がある」ということです。だからこそ、上述したリクルートは、ある程度の年齢になった社員の転職や独立を支援し、カルチャーや文化をキープしているわけです。(猛烈カルチャーは若い人には刺さりやすいが、歳とると刺さりにくい、ということでしょうか)

もうひとつは、もっと重要な話です。それは、大きな「溝」の話です。ここでいう溝とは、社長≒リーダーと、現場のメンバーが働く上での障害になるもの、という意味です。それは「価値観の溝」です。

では、価値観の溝とは、なんでしょうか?
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文= 北野唯我

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