2020年下半期に向けた取り組み
アディダスの第3・第4四半期計画では、2021年に向けた製品の切り換え、発売スケジュールの調整、完全デジタル化された商取引の実施に重点が置かれている。
同社は、ソーシャルメディアや、ランニングアプリ/トレーニングアプリなどを含むデジタル分野に焦点を合わせて、ブランド構築プラットフォームを強化しようとしている。また、「Adidasアプリ」や、会員プログラム「Creators Club」などの商業用プラットフォームも開発する予定だ。
デジタルコマースとマーケティング専門コンサルタント企業アビオノス(Avionos)創業者のダン・ネイウィーム(Dan Neiweem)によれば、アディダスはかねてからデジタル戦略に力を入れており、プレミアムな体験を提供したり、自社のマーケットプレイスを制御されたスペースに作り変えたりするなどしてきた。「こうした主要なビジネス的取り組みがなければ、アディダスは第2四半期でより大きな影響を被っていただろう」
アディダスは第3四半期以降に向けて、顧客とのあらゆるタッチポイントを通じてデジタル体験を向上させる計画を加速させるとネイウィームは予想している。
アディダスが直面する課題は、同社が持続可能な未来に向かっているかを示すものだ。そうした課題には、デジタル戦略だけにとどまらず、企業文化的な問題への対処も含まれている。好調な業績が求められるが、パンデミックによって実店舗での小売りが制限されていることを考えると、それは難題だ。しかし、強力なデジタル戦略を展開し、直販(Direct to Consumer)を強化すれば、埋め合わせは可能かもしれない。同時に、企業文化をめぐる課題にも、業績課題と同様に積極的に取り組んでいく必要があるだろう。