第2四半期のプレスリリース文書では触れられなかったが、アディダスには喫緊の課題がある。それは、多様性にあふれ、平等かつ包括的な企業文化を築くことに関して、どうやって根本的で内容の伴った進歩を遂げていくのかということだ。アディダスは決算発表の場で、従業員の多様性を高め、人種差別を一切容認しないという目標を明らかにした。
同社はこれまで、従業員やメディアから、多様性や差別をめぐる問題について実質的な主張を何も行っていないとして批判を受けてきた。同社がたとえ現在進めている社会的公正の取り組みを完了させたとしても、2020年後半に実りある成果を得るには遅すぎるし、積極性にも欠けるかもしれない。
持続的な変化を、今すぐに起こす
アディダスのカスパー・ローステッド(Kasper Rorsted)最高経営責任者(CEO)は、次のように述べた。「多様性と包括性は、私個人にとって非常に大きな意味を持つものだ。多くの従業員の話に耳を傾け、勉強不足を痛感した」。ローステッドは、2020年6月に第2四半期計画に盛り込まれた「Create Lasting Change Now(持続的な変化を今すぐに起こす)」という取り組みについて一部言及。そこには、たとえば、2025年までに経営幹部における黒人やラテン系の割合を12%に増やす等の長期的な目標も盛り込まれていたが、時代に追いついていないと見られるかもしれない(競合他社の多くはすでに、こうした控えめな目標を達成している)。
アディダスは、多様性と包括性をめぐる改革をいかに進めているかをアピールしているが、同社はこの点に関して、競合他社に後れを取ってきた。6月には、勤続23年のグローバル人事責任者カレン・パーキン(Karen Parkin)の辞職を発表。この突然の動きは、黒人従業員から、多様性が欠如していると批判があがったのを受けたものだった。