生活環境が急速に変化するなか、昨年4月から始まった「月額4万円から全国住み放題」でおなじみの多拠点居住サービス「ADDress」の会員が急増している。なかには、都会の自宅を解約して、地方や近郊での多拠点生活を始める若者もいるという。
ADDressの佐別当隆志代表に働き方の変化と夏休みの過ごし方を聞いた。
──コロナ禍に、佐別当さんご自身はどのように過ごしていましたか。
私は品川区の一軒家で、家族と共にシェアハウスと民泊のゲストハウスを運営していて、リビングやキッチンは共用でシェアの生活をしています。ゲストハウスの利用者は99%海外の人だったため、インバウンド観光客激減の影響を受けています。
まず、自分自身が家で仕事をできる環境にするため、1室を仕事部屋にしました。9歳の娘は元々ホームスクーリング(自宅学習)をしているため、仕事の合間に勉強を教えたり、休憩時間に遊んであげたりと、仕事と家族との生活のバランスが取れるようになりました。朝昼晩、犬の散歩にも行っています。
ただ、娘にとって、私が家にいるのが当たり前になって、朝から「オセロやろうよ」「かくれんぼしよう」と言われるようになりましたが(笑)
──賑やかな環境ですね。緊急事態宣言によってリモートワークが普及したことで「ADDress」の会員はどれほど増加したのでしょうか。
緊急事態宣言が出されていた4~5月は、既存会員は利用停止をできるように休会制度を設けていたのですが、5月下旬から7月ごろまで新規会員数は3、4倍のペースで増えています。
テレワークの浸透が10年後ではなく、急にきました。出社する必要もなくなり、東京にいる意味はあるんだろうか? と疑問を持ち始めた人も多いと思います。
コロナ以降もこのような働き方が継続されることを見込んで、家を解約する人もいます。これまで会員はフリーランスの人や経営者、プログラマーが多かったですが、IT系を中心に会社員も増えました。
年齢層は30代>40代>20代の順に多かったですが、20代>30代>40代の順に変わりました。ある20代の男性は、サーフィンや旅行、BBQなどアクティブな趣味があるので、家を解約してADDress会員になって多拠点生活に切り替えることで、これまでの仕事中心の生活ではなく、毎日のように仕事前後にアクティビティができるようになったんですね。若い方は行動力がありますよね。
ADDress会員急増の背景を語る佐別当さん (写真=Christian Tartarello)