そんなウィズコロナ時代に「毎日使用するからこそ、人を楽しませるマスクをつくりたい」と立ち上がったのが、アートとマスクをつなげる新しいプロジェクト『The Masks』。五木田智央氏や鈴木親氏をはじめとする13名のアーティストがデザインした高品質なマスクを提供している。構想から販売開始まで約5週間という異例のハイスピードでプロジェクトを進め、5月15日には販売開始。発売日から約3カ月が経った今、商品の過半数は売り切れとなっている。
今回、プロジェクトの進行を主導した、3rd代表取締役の川村匡慶氏とクリエイティブ・ディレクターの頭山亜季氏にプロジェクト立ち上げの経緯やマスクに込めた想い、今後の動向について話を聞いた。
マスクに「遊び心」があってもいいと思う
──はじめに、『The Masks』のプロジェクト概要について教えてください。
川村:『The Masks』は、コロナ禍でマスクへの需要が高まる世の中において、13名のアーティストがデザインしたマスクを販売しているECブランドです。着用が義務化され、なんとなく味気ないイメージがあるマスクに遊び心を取り入れたいと思い、立ち上げました。
また、美術館やギャラリーが閉鎖され、活躍の場が減っているアーティストを支援する目的もあります。収益の5割は赤十字社に寄付をするので、お客様、アーティスト、社会に対して貢献できるプロジェクトだと自負しています。
──プロジェクトは、川村さんと頭山さんが主導で進められたんですよね。お二人はどのような経緯で連携することになったのでしょうか。
川村:元々3rdは、所謂D2Cと言われるデジタルネイティブなブランドのインキュベーションをしている会社です。3rdのミッションはアイデアやペインを持った人の“こんな世界やモノがあったらいいな”という想いを、ブランドという形で具現化すること。普段からクリエイティブ領域に強みを持つ方や、モノ作り、デジタルマーケティングなど特定の分野の専門性を極めた方と連携し、ブランドごとにチームを作り、3rd自体はプロジェクトマネジメントと経営管理の機能を担っています。
頭山さんのように、ファッション、カルチャー、アートという特定の領域にネットワークを持っている方と共にプロジェクトを進めるのは、3rdらしい事業といえます。
頭山:私たちが知り合ったのは、コロナが流行する少し前。私は元々外資系ラグジュアリーブランドで10年間以上広報の仕事をしており、ちょうど独立をする頃に川村さんと知りあいました。そこで意気投合して、お互いのネットワークを活かして、ファッションだけではなく、カルチャーやアートなどを絡ませたプロジェクトを何か立ち上げたいですねという話をしたのが始まりでした。
川村:最初は、頭山さんとは全く別のプロジェクトを始めようと考えていましたが、2月頃からコロナウイルスが流行し始めて、マスクへの需要が急速に高まったこともあり「それならアーティストにマスクをデザインしてもらおう」という形になりました。
3rd代表取締役の川村匡慶氏