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「21世紀サステナビリティ経営の極意」

Justin Sullivan/Getty Images

テスラの株価上昇が、経済ニュースでトレンド入りしている。ここ6年ほど、250ドルから350ドルまでを行ったり来たりしていた株価が、今年の1月に500ドルを突破した。さらに2月には900ドルに上がり、その後はコロナ相場の下落で400ドル台に下がったものの急回復。6月には1000ドル、7月には1500ドルを超えて2000ドルに迫ろうとしている。

こうしたテスラの株価上昇については、最近話題の「ESG(環境/Environment、社会/Social、ガバナンス/Governance)」で説明されることが多い。電気自動車は環境に優しく、ESGの「E(環境)」の観点からテスラを好む投資家が増えていると報じられている。

テスラと同じように、実はアップルの株価もかなり好調だ。

新型コロナウイルスによるパンデミックの影響で、世界的な相場下落となる直前の2月14日に324ドルだった株価は、3月20日には229ドルまで約30%も落ち込んだ。しかし、すでにそこから大きく回復して、7月22日には389ドルと最高値を更新。コロナ相場下落前と比べても20%近く上昇している。

アップルの2015年7月の株価はなんと124ドル。5年間で約3倍になった計算だ。時価総額で考えると60兆円から180兆円へと驚異的な成長を記録している。実は、アップルは、ESG投資家からテスラ以上に好まれている銘柄の1つだ。しかし、そのことについてはあまり報じられていない。

2030年までに二酸化炭素排出量をゼロに


もともとアップルは、iPhoneやMacの新製品発表会の度に話題を集め、動画ストリーミングの「Apple TV+」なども注目度が高い。これらは消費者と接点のある商品であるから、ユーザーの関心が高くなるのも当然だ。

だが、最近アップルは、ハードウェアの分野にも大きな変革を見出している。しかも、そのイノベーションは、製品の性能面だけでなく、資源調達や素材開発の面にある。

それを彷彿とさせる発表が、7月21日にアップルからなされた。その内容は、バリューチェーン全体で、2030年までに二酸化炭素(CO2)排出量をゼロにするというものだった。

私のようにESGを専門としている者でなければ、このニュースはピンとこないかもしれないが、これは「前代未聞」の話だ。

アップルは、鉱山から資源を採掘し、それを加工して部品を作り、工場で組み立てることでMacやiPhoneなどを製造している。その製品は、ユーザーに使用され、いつかは不要になって捨てられていく。

当然、この一連のフローのなかで、電気を使い、熱を使い、膨大なCO2が排出されることになるわけだが、アップルはこれを「2030年までにすべてゼロにする」と宣言したのだ(厳密には75%を削減し、残り25%は植林等でオフセットを実施)。

この話を聞いた同業者なら、「そんなことは不可能だ」と反応するのが普通だ。しかし、アップルのティム・クックCEOは、これらの目標を追求することが、新たなイノベーションの源泉になると表明した。そして、これによりアップルはさらに強くなるという考えを示したのだ。

文=夫馬賢治

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