TikTokは今年1月時点で米国で500人を雇用していたが、現在は1400人まで増員している。同社は21日、今後3年間で1万人以上を米国で採用するとアナウンスした。
TikTokは米国のZ世代と呼ばれる若い年齢層に特に人気で、ニュースサイトAdWeekによると2020年第1四半期には米国で最もダウンロードされたアプリとなった。
しかし、米国上院の国土安全保障・政府活動委員会は7月20日、連邦政府職員が政府支給の端末でTikTokを利用することを禁じる法案を採決した。米国の議員らは、TikTokの運営元のバイトダンスが中国政府や企業と深いつながりを持ち、このアプリが米国議員から機密情報を盗み取ることを懸念している。
米軍や運輸保安庁、共和党及び民主党の全国委員会、大手銀行のウェルズ・ファーゴなどは既に、職員や社員がこのアプリをダウンロードすることを禁じている。
TikTokの運営元のバイトダンスは、中国の北京に本拠を置いている。ニュースサイトAxiosの取材に、TikTokの広報担当者は、ニューヨーク州やカリフォルニア州、テキサス州、フロリダ州、テネシー州の拠点で新規の社員を採用すると話した。同社はエンジニアリング部門や、セールス、コンテンツ監視、顧客サービス部門で新たな人員を採用するという。
トランプ大統領はTikTokが中国政府によるスパイ活動やプロパガンダに用いられる懸念があるとして、国家レベルの禁止措置を検討していると述べた。
一方で、ニューヨーク・タイムズ(NYT)の報道によると、TikTokは米国政府への働きかけのため、35人のロビイストを採用しており、そのうちの一人はトランプ大統領と深いつながりを持つ人物だという。
米国で2カ所に「透明性センター」を設置
TikTok側は中国政府との関わりを否定している。「当社はこれまで一切のデータを中国政府に渡していない。政府にそれを頼まれたとしても、要求に応じることは無い」とTikTokの広報担当は、ニュースサイトPoliticoの取材に述べた。
しかし、インド政府は既にTikTokを利用禁止にしており、このアプリを含む中国企業のアプリが国家の安全と統合に脅威をもたらしていると述べた。
調査企業Sensor Towerによると、4月末時点でTikTokの累計ダウンロード数は20億件を突破していた。
米国での非難の高まりを受けて、TikTokはロサンゼルスとワシントンD.C.に透明性センター(transparency center)を設置し、コンテンツ監視オペレーションを外部に公開すると宣言した。若者たちの絶大な支持を集めるTikTokは、6月上旬に開示した透明性レポートで、昨年12月以降に4900万本の動画コンテンツの24.8%を削除したことを明かした。同社はこの措置により、未成年を有害コンテンツから守ろうとしていると述べていた。