米国の議員らがTikTokと中国政府の関連を指摘し、個人データが吸い上げられているとの疑惑が浮上したのを受けて、ポンペオはFoxニュースのインタビューで、「TikTokの禁止を検討している」と述べた。
しかし、9日に開示されたモーニング・コンサルトの世論調査のデータでは、米国の成人の33%がTikTokの禁止に反対しており、賛成と答えたのは29%にとどまっていた。
投票結果に重大な影響を与える無党派層の間では「禁止に反対」が「賛成」を4ポイントリードしており、中間層ではその差が6ポイントだった。さらに、2016年に投票しなかった有権者の間では、その差は13ポイントにも及んでいた。
しかし、最も強く禁止に反発しているのは18歳から29歳の年齢層で、52%が「禁止に反対」と回答し、「賛成」の19%を33ポイントも上回っていた。一方で、35歳から44歳の年齢層では、この差は13ポイントだった。
TikTokが米国人の日々の暮らしに溶け込んでいることは間違いなく、米国政府がこのアプリを禁止すれば、政権に重大なリスクをもたらすことになりそうだ。
TikTokのユーザーらは既にこのアプリを政治目的で利用しており、黒人男性のジョージ・フロイドの死を受けて始まった、抗議デモの参加者同士のコミュニケーションにも用いられている。
さらに、トランプ陣営が6月にオクラホマ州タルサで開催した選挙集会では、数万人のTikTokユーザーやK-POPファンらが、集会を妨害する目的で偽の電話番号を用いて席を予約し、スタジアムを空席だらけにした。
Statistaのデータによると米国のTikTokユーザー数は2019年時点で3720万人で、2020年の終わりまでに4540万人に伸びる見通しという。また、利用者の3分の2が成人とされている。
SNSを味方につけるバイデン陣営
ここで気になるのは、SNSで高まる反トランプの気運が、バイデンを後押しすることにつながるかだ。バイデンは中国に対して強気の姿勢をのぞかせているものの、彼はTikTokに反対するスタンスはとっていない。
今年3月にはTikTok上で、バイデンの演説に加工を加え、彼がトランプの再選を容認する発言を行ったかのように見せかける動画が出回ったが、バイデンはTikTokを否定するコメントは発していなかった。
一方で、ニューヨーク・タイムズ(NYT)の報道によると、バイデンを草の根で支持する団体の「バイデン・デジタル連合」は、トランプのタルサでの選挙集会を妨害し、「TikTokグランマ」の愛称で全米の注目を浴びた女性をスカウトし、ソーシャルメディアからバイデン支持のメッセージを拡散しようとしている模様だ。