また、この時点でもう一つ不明な点は、新型コロナウイルス検査で陽性になった人が病気から受ける特異な影響だ。自覚症状なし、軽症、重症の3つのカテゴリーにきっちりと分けるのはあまりに単純過ぎる。
先日公表されたオランダの調査では、「軽い症状がある」カテゴリーに属する一部の患者が長期間(時には数カ月間)新型コロナウイルス感染症によって深刻な影響を受けることが明らかになった。
新型コロナはパンデミック(世界的大流行)が始まった当初から、感染者の少数(高齢者や持病がある人の場合が多い)が重症化するというのが世間一般の通念だった。重症の患者は入院が必要とされることが多く、一部のケースでは集中治療が必要になる。
世界保健機関(WHO)によると、症例の80%以上が軽症か無症状だ。これらのカテゴリーに属する患者は2週間で回復することが多い。
しかし、世界中で軽症と判断された数千人、あるいは数万人の患者は早期回復を果たせていない。多くの患者は数カ月にわたり新型コロナウイルス感染症の症状が消えず、体が衰弱しかねない状態にある。症状には息切れや過度な疲労、断続的な熱、せき、集中できないこと、胸部の圧迫感、頭痛、心臓の動悸(どうき)などがある。
オランダでは、保険基金のロングフォンズ(Longfonds)がマーストリヒト大学や治療センターのCIROグループと共に、新型コロナウイルス感染症による長期的な影響を報告した1622人の患者を調査した。調査対象となった患者の91%は入院を経験していないため、圧倒的大多数は「軽い症状がある」カテゴリーに属することが示されていた。調査された患者の平均年齢は53歳だった。
患者の88%近くは、強い疲労が消えないことを報告し、4分の3近くは息切れが続いていた。他の長引く症状としては胸部の圧迫感(患者の45%)、頭痛と筋肉痛(それぞれ40%と36%)、脈拍の上昇(30%)、めまい(29%)などがあった。
おそらく最も驚きの研究結果は、調査された患者の85%が新型コロナウイルス感染症を患う前、自分が健康だと考えていた点だ。しかし、新型コロナウイルスに感染後1カ月以上たった時点で自分は健康だと考えていたのはわずか6%だった。