この分析によれば、米国の最富裕層の資産は、3月18日から6月17日にかけて20%増加し、新たに29人がビリオネアの仲間に加わったという。フォーブスのデータに基づくこの分析では、米国に全部で643人いるビリオネアの純資産の合計額は、2兆9000億ドルから3兆5000億ドルに増加したことがわかった。それと同じ時期、米国で4550万人にのぼる人が失業保険を申請している。
ジェフ・ベゾス(Jeff Bezos)、ビル・ゲイツ(Bill Gates)、マーク・ザッカーバーグ(Mark Zuckerberg)、ウォーレン・バフェット(Warren Buffett)、ラリー・エリソン(Larry Ellison)という米国のビリオネアトップ5の資産は、パンデミックの発生以降、合計で1017億ドル(26%)増加した。
アマゾンはロックダウン導入当初から活況を呈し、その結果、ベゾスの資産は前述の3カ月間で437億ドル(38.6%)増加した。同様に、フェイスブックの創業者でCEOのマーク・ザッカーバーグも資産を320億ドル増やし、3カ月の伸び率は58.6%に達した。
トップ5以外では、米国のビリオネア12人が、パンデミック発生以降の期間で資産を倍増させた。そのうちのひとり、トレバー・ミルトン(Trevor Milton:燃料電池トラックメーカー「ニコラ・モーター[Nikola Motor]の創業者)は、資産を5倍以上に増やした。
分析リポートの指摘によれば、米国のビリオネアが増やした資産の総額は、連邦政府が景気刺激策として1億5000万人以上の国民に支払った一時給付金の総額の2倍にのぼるという。
ATFのエグゼクティブ・ディレクターを務めるフランク・クレメンテ(Frank Clemente)は経済格差に言及し、「尋常ではないこうした資産額は、我々の経済システムに根本的な欠陥があることを示している」と述べた。「パンデミックで明るみに出たことがあるとするなら、それは、我々の社会がどれほど不平等になっているか、どれほど抜本的な変化を必要としているかということだ」
パンデミック発生以降の米国のビリオネアの資産の変化