ビジネス

2020.06.28

アフターコロナの世界でデジタル起業家に求められる視点

デジタルエコノミーを牽引するアリババグループ創業者のジャック・マー (Getty Images)


他にも、ルワンダのeFounder、ナディア・ウワマホロ氏とオリジヌ・イギラネザ氏は、ルワンダの学生たちがパンデミックの中でもオンラインで教育を受けられるよう支援する2つのデジタル教育プラットフォーム、「eShuriプラットフォーム」および「O’Genius Panda」を立ち上げました。

フィリピンのジョシャ・アラゴン氏とスティーブ・サイ氏は、eFoundersフェローシッププログラムで目にしたタオバオビレッジのモデルにインスピレーションを得て立ち上げた、電子商取引プラットフォーム「ザガナ(Zagana)」を通じ、農場から家庭への新鮮な農産物の配達を支援しています。eFoundersフェローシッププログラムは、国連貿易開発会議(UNCTAD)とアリババグループの共同プロジェクトで、開発途上国の起業家たちが母国でのデジタルトランスフォーメーションを促進する触媒となれるよう支援するものです。

デジタル技術を活用している企業は、自社の事業を新しい課題に対応できるよう適応させていくだけではなく、他社を支援し、復興への道のりをリードしていくべき立場にもあります。ネットプレナー・トレーニングプログラムのダニエル・リム氏により創設された、全国的なコラボレーションプラットフォームである「RumaKita」は、マレーシアの多くのロジスティクスおよび製造分野のeFounderやネットプレーナーからの支援を受け運営されています。このプラットフォームは、最前線の医療機関への必要なリソースの効果的かつ効率的な調達・割り当て・配達を行うため作られたものです。

デジタルエコノミーには、大衆の起業家精神が社会的モビリティに拍車をかけ、社会の主流から取り残された人たちの経済参加が拡大するというメリットもあります。

アリババの経験は、新しい機会の開拓と包括的な成長の推進においてデジタルエコノミーがなくてはならないものであることを示しています。アリババは、プラットフォームを通じて中国内で4000万以上の直接的および間接的な雇用を生み出し、数千万の中小企業およびスタートアップ企業に可能性をもたらしました。

さらに、新型コロナウイルス感染拡大の結果としてテレワークの採用が増加し、物理的な境界を越えた人材へのアクセスも可能となったことは、起業家たちに自社の組織的構造を再考する新しい機会ももたらしています。

中小企業は、あらゆる社会における雇用創出と経済貢献のバックボーンです。そして、経済回復への道のりにおける開拓者となる存在でもあります。その中でも、デジタル技術を取り入れ、顧客、パートナー、地域コミュニティに可能性を提供するため自らのベンチャーやチームを方向転換させることのできる企業は、長期的に生き残り繁栄する最良の機会を手にすることができるでしょう。

第二波、第三波やこのパンデミックの持続的な影響を予測することは困難ですが、新型コロナウイルス感染拡大の収束後の未来では、人材および事業の準備や強化もテクノロジーを介して行うことになると考えられています。事業を継続するにあたって不可欠なニーズへのアクセスを維持するためにも、デジタルエコノミーは私たちの生活のあらゆる側面で重要な役割を果たすことになるでしょう。これこそが、私たちが共に作り上げていかなければならない「すばらしい新世界」であり、今こそ、その構築に向け起業家たちの能力向上を支援し、彼らと力を合わせていくべき時なのです。

(この記事は、世界経済フォーラムのAgendaから転載したものです)

連載:世界が直面する課題の解決方法
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文=Brian A. Wong, Vice-President, Global Initiatives, Alibaba Group

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