ビジネス

2020.06.28

アフターコロナの世界でデジタル起業家に求められる視点

デジタルエコノミーを牽引するアリババグループ創業者のジャック・マー (Getty Images)


デジタルツールを活用する能力は、いまや、事業がこの危機を生き抜くために欠かせないものとなっているのです。

私たちは、起業家たちがこの危機を生き抜き、長期的な成功を収めることができるよう、彼らがデジタルエコノミーをより有効に活用し、コミュニティの課題の解決策を開発できるよう支援していかなければなりません。

アリババビジネススクールのアリババ・グローバル・イニシアチブ(AGI)チームは、起業家や中小企業を力づけ、エンパワーメントすることが急務であることを認識しています。そのために、アリババは、新型コロナウイルス感染拡大に対する取り組みから得た教訓を、世界中の起業家たちが、新しいデジタル技術を活用してこの危機を乗り越えるためのリソースとして、共有するハンドブックを作成しました。

新しい生活様式に適応するため、起業家が着目すべき点


このパンデミックは、ほぼすべての分野におけるデジタルトランスフォーメーションのプロセスを加速させました。世界がゆっくりと、しかし着実に回復段階へと移行しつつある中、パンデミックのもたらした消費者行動の変化は、永久に定着する様相を見せています。そこで問題となるのは、パンデミックという荒波の中、起業家たちのデジタルツールおよびイノベーションを活用する力をいかに向上させていくかということです。

デジタルツールを用いて新しい消費者行動に適応していくために、起業家たちは回復への道のりにおいてどのような機会に着目すべきなのでしょうか?

第一に、デジタルエコノミーが、新型コロナウイルス感染拡大の収束後の世界経済の回復において、益々重要な役割を果たすようになることは明らかです。中国での対応で見られるように、デジタルエコノミーの上に構築されたエコシステムはレジリエントで機敏、変化にも迅速に対応できます。

共有価値の創造に重点を置くデジタルエコノミーは、従来のゼロサムゲームのビジネスモデルからの脱却を象徴するものです。オンラインマーケットプレイス、キャッシュレス決済、非接触型配送、ライブストリーミングなど、新型コロナウイルス大流行中に活用されたデジタルサービスは、今では、いたるところにあるものになっています。エコシステムの構築にあたっては、起業家たちは複数のプレーヤーによる問題解決を可能にするプラットフォームアプローチを採用する必要があります。

第二に、ゼロから新しいシステムを構築する能力が必要になることで、新興市場の中小企業や起業家たちが台頭するようになり、新型コロナウイルス感染拡大の収束後の経済回復において、彼らの立場がより有利になります。このことは、これらの市場全体の起業家たちに大きな機会をもたらします。

アジアとアフリカのAGI起業家ネットワークには、新型コロナウイルス感染拡大がもたらした課題の中で、デジタルソリューションに取り組み成功をおさめた例がすでに多くあります。 eFounderのフェローでもあり、ウガンダを拠点とした遠隔医療企業を運営するデイビス・ムシングジ氏は、24時間年中無休対応の自社のコールセンターを拡張し、PPEの電子商取引プラットフォームを構築するために事業を方向転換、自社の医薬品配送サービスを統合させました。
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文=Brian A. Wong, Vice-President, Global Initiatives, Alibaba Group

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