観光と市民生活が衝突するパリ
パリでは、市民生活と観光業のせめぎ合いがロックダウン前にピークに達しようとしていた。パリのアンヌ・イダルゴ市長はバルセロナと同様、エアビーアンドビーの台頭との闘いを続けている。同市では、エアビーアンドビーにより市民生活が阻害され、観光客向け短期レンタルの方がより儲かるという理由で長期的な賃貸より優先されるようになっていた。
再選をかけた6月末の市長選で優勢となっているイダルゴ市長は、パリを「15分の街」にすると宣言した。これは、全ての住民が、徒歩や自転車での短時間の移動で必要なものを手に入れられる場所に住めるようにすることを意味している。
新型コロナウイルスの流行が始まってから、パリを含む大都市の多くでは自転車専用道路の設置が加速。また、地元住民をシャンゼリゼ通りに呼び戻す新たな計画も進行中だ。
しかし、年間訪問客が世界最多の1900万人に上るパリは、入国規制が6月15日に解除されるまで数カ月にわたり観光客を受け入れられず、大きな打撃を受けた。地元住民は自分たちだけの街を取り戻すことができ、野生動物が増加したことに喜んだが、新型コロナウイルスはフランスの観光産業をむしばむ多くの問題のうちの一つでしかない。
米誌USニュース&ワールド・リポートは、新型コロナウイルスがシャルリー・エブド紙本社襲撃や2015年のパリ同時多発テロ、「黄色いベスト」の抗議デモ、マクロン仏大統領の年金改革に対する度重なるストライキなどに続き、フランスの観光業に大きな影響を与えていると報じている。