テスラの株価は2月に900ドル以上に急騰したが、3月後半の新型コロナウイルスの感染拡大を受けて400ドル付近まで下落していた。しかし、その後は力強いリバウンドを見せ、3月23日以降に130%の上昇となり、現在は1000ドル以上をつけている。
モルガン・スタンレーのアナリストAdam Jonasは23日の顧客向け資料で、テスラの輝かしいストーリーやポテンシャルは理解できるものの、現状の株価水準は不釣り合いだと述べた。
Jonasはテスラの目標株価を650ドルに設定し、格付けをアンダーウェイトとした。
モルガン・スタンレーはテスラが今後10年で、年間200万台の生産を達成すると予測するが、現状の株価を正当化するためには、さらなる増産が必要だという。また、現状のテスラの株価を支えているのは、テック指向の投資家たちであり、彼らはテスラがアマゾンやグーグル、アップルなどと同じカテゴリの企業と考えているという。
しかし、Jonasによると、テスラはこれらの大手テック企業と比較すると、完璧からは程遠いという。自動車メーカーであるテスラは多くのリスク要因を抱えているが、投資家はそれを無視していると彼は指摘した。
モルガン・スタンレーは6月12日に、テスラのリスク要因を3つ挙げていた。短期的なリスク要因には需要と価格の問題があり、長期的リスクには中国での販売や他の大手との競争の高まりが挙げられるという。しかし、投資家らはその警告に無反応だった。
モルガン・スタンレーは、テスラの投資家たちが新型コロナウイルスの影響を見極めつつ、様子見のモードにあると分析している。
テスラの時価総額は、昨年末に750億ドルだったが、現在は1850億ドル(約19兆7000億円)まで膨らみ、フォードとGM、フィアット・クライスラーの合計を上回る金額に達している。イーロン・マスクの保有資産は4月時点で240億ドルだったが、現在は420億ドルを突破している。