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Ariel Skelley/GettyImages

今年の春休みに人気観光地を訪れた多数の大学生が新型コロナウイルスに感染し、キャンパスや地元地域へウイルスを持ち帰って感染を拡大させた可能性を指摘する論文が公開された。

『College Student Contribution to Local COVID-19 Spread: Evidence from University Spring Break Timing(大学生による新型コロナウイルス感染症の局所拡大への寄与 大学春休みの時期からの証拠)』と題された論文は、バンダービルト大学とボール州立大学の研究者らが執筆。まだ草稿の段階にあり、社会科学研究ネットワーク(SSRN)のウェブサイトで公開されている。

論文では独創的な方法を用い、春休みの時期と、休み中の学生の移動が、新型ウイルスの感染者と死者の増加スピードにどう影響したかを検証。春休み中の大学生が、新型ウイルスの全米への拡大の一因となったとする経験的証拠を示した。

研究ではまず、4年制大学を春休みの時期を基にグループ分けした。これにより1326校の春休み日程のデータベースが出来上がり、750万人以上の4年制大学生をカバーするサンプルが作成された。さらに、セーフグラフ(SafeGraph)の「ソーシャル・ディスタンシング・メトリクス」を用い、スマホのGPS位置情報に基づいて学生の移動状況を追跡した。

春休みの開始が早い大学の学生の多くは、フロリダ州などの人気スポットへ旅行し、休みの終了と共にキャンパスへ戻った。一方で春休みの開始が遅い大学の場合、休みは事実上なくなり、学生らは学期の残りの期間を主に家で過ごしていた。

春休みが早い学生が多い郡では、新型ウイルスの感染拡大スピードが速いという結果が出た。4月30日の時点で、春休みの早い郡における人口当たりの感染者の割合は、春休みが遅い郡よりも20%高かった。感染拡大のピークは、春休みを終えた学生がキャンパスへ戻ってから2週間後に訪れた。

さらに、学生から高リスク集団への二次感染が起きていた証拠も見つかった。死者の増加ペースは、学生が春休みを終えてキャンパスへ戻ってから4〜5週間後にピークに達していた。

また学生の旅行先や移動手段についても調べた結果、空路でニューヨークやフロリダを訪れた学生がウイルスの拡大により大きく寄与していたことが判明した。一方、クルーズ船を使った学生が地元の感染拡大を助長した証拠は見つからなかった。

論文執筆者はボール州立大学のニュースリリースで、各大学は自校の対策によって周辺地域へのリスクを低減できることを認識すべきだと指摘している。

編集=遠藤宗生

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