コロナ「第1波」から抜け出せない米国、感染が急増している州は?

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米国では、一部の州で新型コロナウイルスの感染者が急増しており、経済活動の再開を急ぎ過ぎたのではという疑念や、人々の安全を維持と経済へのさらなる打撃の回避のバランスをどうとるかという課題が生じている。

早期から経済再開を進めていたテキサスとフロリダの両州では先週、1日の新規感染者数が過去最多を記録。カリフォルニア州でも同様に1日の新規感染が最多となったが、地元当局は感染者急増の原因は検査件数の増加にあると説明している(フロリダ州の州知事も検査の増加を理由として挙げた)。

アーカンソー、アラバマ、ノースカロライナ、サウスカロライナ、ユタ、アラスカの各州でもここ1週間で感染者の数が急増。米疾病対策センター(CDC)は12日、アリゾナ、アーカンソー、ハワイ、ノースカロライナ、ユタ、バーモントの6州で新型コロナウイルスによる死者の増加ペースが向こう1カ月で上昇する可能性が高いとの予測を発表した。

一部の州や都市では、感染者の急増を受け、経済再開措置の見直しが行われた。オレゴン州では12日、新規感染者数が流行開始以降で最高の水準に達したことを受け、州知事が再開プロセスを停止。ユタ州の州知事やテネシー州ナッシュビルの市長も同様の命令を出している。

ジョンズ・ホプキンス大学の統計によると、米国の新型コロナウイルス感染者は200万人を超えており、死者は11万4000人以上に上る。

各地で新規感染者が最多を記録している状況は、米国が新型ウイルス流行の第2波に突入しつつあるように思えるかもしれないが、そうではなく、「第1波」がまだ続いているというのが現状だ。ニューヨーク・タイムズ紙のデータによると、米国全体の1日の新規感染者数は4月にピークの3万6000人に達し、ここ1カ月は2万人前後でほぼ横ばいとなっている。

感染者の数は、流行の中心地となったニューヨーク州やニュージャージー州では激減したが、南部や西部の多くの地域では増え続けている。真の「第2波」が到来するには、ウイルス感染がいったん息をひそめた後、再び拡大する必要がある。

ハーバード大学グローバルヘルス研究所のアシシュ・ジャ所長はNPRに対し、「私たちはまだ第1波を終えていない」と指摘。「第1波が近いうちに終わることはなさそうだ」と語った。

編集=遠藤宗生

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