創業23年のHTCは台北で開催されたイベントで、同社初の5G対応機種の「U20 5G」とミドルレンジ帯モデルの「Desire 20 Pro」を発表した。
U20 5Gは6.8インチのディスプレイを備え5台のカメラを搭載し、インカメラは32MPのシングル仕様となっている。HTCによるとこの機種は5Gに対応し、これまでに無いエンターテイメント体験を実現するという。クアルコム製のSnapdragon 765Gを搭載し、256GBのストレージを備えたこの端末は約640ドルで発売される。
HTCは近年、収益面で課題に直面しており、2019年は3億1530万ドル(約340億円)の損失を計上した。同社は2018年の中頃に1500人のレイオフを宣言したが、先日も新たな人員削減によりコスト削減に踏み切ると述べていた。
同社は2017年に、デザイン部門をグーグルに11億ドルで売却し、2000人を移籍させていた。
調査企業IDCによると、HTCのスマホの世界シェアはピーク時の2011年には10.7%に達していたが、昨年は1%以下にまで落ち込んでいた。
HTCは今回の新端末でスマホ市場に再チャレンジしようとしている。しかし、IDCのアジア太平洋部門のKiranjeet Kaurは、ここ数年のHTCの端末が目立った成果をあげられていないと指摘した。
中国のスマホメーカーらは、既に5G市場に意欲的な取り組みを見せており、500ドル以下の5G端末をリリースしている。「HTCは今後、さらなる困難に直面する見通しだ」とKaurは話した。
HTCは昨年、フランスの通信大手オレンジの幹部を務めたYves Maitreを招き入れ、新CEOに任命していた。Maitreは5G対応端末によって、HTCを新時代に導いていくと述べていた。