コロナ時代の「会議」を革新する台湾HTCのVRプラットフォーム

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新型コロナウイルスの世界的流行は、企業向けオンライン会議ソフトの需要を高めることにつながった。そんな中、台湾のスマホメーカーとして知られる「HTC」は、VR(仮想現実)を活用したヴァーチャル会議システムを売り込もうとしている。

会議の参加者は、自身のアバターを仮想現実空間に送り込み、VRヘッドセットを着用して同僚のアバターと会話を行うことが出来る。この仕組みは“エクステンデッド・リアリティ(extended reality)”や“XR(クロスリアリティ)”と呼ばれている。

HTCは先日、ビジネス向けのVRソーシャルプラットフォーム「Vive SynC」を立ち上げた。企業はHTCがVIVEブランドで販売するVR機器を導入すれば、このプラットフォームを利用可能になる。

Vive SynCは最大30人が同時利用可能で、現状ではHTC製デバイス(HTC VIVE、VIVE Cosmosなど)のみに対応しているが、将来的には他社のVRヘッドセットにも対応する予定という。

プラットフォーム上で、会議の参加者はVR空間でプライベートなミーティングが行える。クラウド上のストレージからファイルを取り出し、共有したりプレゼンを行うことも可能になる。他社のサービスでは不可能な、3D空間での会議が可能になるのだ。

調査企業Technavioによると、クロスリアリティ機器市場は今年から2024年にかけて、1770億ドル(約19兆円)の成長が見込めるという。アナリストらはHTCがこの市場において、優位なポジションに立てると見込んでいる。

2016年にVR市場に参入したHTCのVIVEブランドは、ヘッドセット分野で最も人気のブランドの1つとなっている。

ガートナーのアナリストのTuong Nguyenは「HTCは、VRのハード及びソフトの両面を手がけており、この分野の統合化の役割を果たせるかもしれない」と指摘する。ただし、HTCがこの分野での覇権を構築するためには、より大きなビジョンが必要になりそうだ。

XRを普及させるためには、現状よりも快適なエクスペリエンスを実現する必要がある。さらに、VRミーティングを一般化させる上では、セキュリティと直感的な操作性を両立させることが必須となる。さらに、画面の解像度なども大きな課題となるだろう。

台湾の調査企業Market Intelligenceのアナリストは、「HTCは、Vive SynCプラットフォームをアピールすることで、企業向けVR機器の売上を伸ばせるかもしれない」と述べた。

しかし、「より安価なデバイスの開発や、それらをVive SynCプラットフォームと組み合わせて販売するなどの、新たな取り組みを進めない限り、この分野で意味のある売上を生み出すことは難しい」と続けた。

編集=上田裕資

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