一方で、こういった新しいブランドの見せ方は、まだ完全に受け入れられているというわけではない。Miyoko’s Creameryは、食品規制当局(The California Department of Food and Agriculture)から『Butter』 という文言を商品パッケージに使用しないよう、またこのように牛をホームページに掲載することをやめるように求められたとし、今年2月、カリフォルニア州を訴えたと報じられた。
州は「バターとは、哺乳類のミルクやクリームから作られるものであり、消費者が誤認する可能性がある」と主張しているようだが、ピーナツバターなど、植物由来の食品でバターと名の付くものはすでに市場に溢れており、主張と現状には認識のズレがあるようだ。
プラントベース食品市場が急拡大する一方で、牛乳やヨーグルトの売り上げはここ数年間減少、または横ばいに留まっている。
Miyoko氏はCBSN Bay Areaの取材に対し、「州は変化する消費者を無視し、消費者意識の変化によって脅かされている既存産業を守ろうとしている」と、一貫して抗戦の構えだ。
この『Butter』を巡るバトルからも、州が動くほどに、代替食品を巡るムーブメントが大きくなっていることがお分かり頂けるのではないだろうか。
まとめ:問題意識の高まりは具体的な回答へ
人間にとっては甚大な被害をもたらしている新型コロナウイルス。しかし各地でロックダウンが実施され、人間の活動が停止したおかげで、一時的に地球環境が改善したことも報告されており、我々の日常生活がいかに地球に負荷をかけているかを改めて痛感させられた。
希望的観測かもしれないが、これをきっかけに消費者の問題意識がより高まり、環境に優しい行動を望むようになると考えると、今回取り上げたフレキシタリアンの増加など、アメリカで起きている消費者のムーブメントは、今後日本にも広まっていくのではないだろうか。
本記事で紹介した事例はどれも、食品としての美味しさの追求だけにとどまらず、食事という一連の体験の中で消費者が抱えていたネガティブな感情や罪悪感、小さなストレスを上手く克服して、ブランド力を高めていると言えるだろう。
(この記事は、btraxのブログfreshtraxから転載・編集されたものです)