髙崎:課題だけ指定される形式では、親が先生の代役で、見守りや質問への回答をしなければならない。採点も親がやるように言われてしまうと、もう完全に先生の代役ですよね。専門の教育を受けていないし、時代が違えば学び方も変わるのに…。
小西:よく分かります。オンライン学習だけになってからは、子どもも私も慣れてきたこともあり、2人ともパソコンやタブレットを自由自在に使いこなしています。そのため、付きっ切りからは解放されましたが、何か分からない点があった時、課題が終わった時などは、家事などをしている私か、在宅勤務中の妻に駆け寄ってきます。
髙崎:実は私、休校が始まって3週目くらいに、今のやり方では保護者の負担が大きすぎる、と担任の先生にメールで伝えたんです。するとZoomでのビデオ授業や、動画視聴など、親の見守りが必要ない内容が増えました。先生も手探り状態だったのでしょうね。
出席率100%、デジタルネイティブな生徒たち(スウェーデン)
スウェーデン 高校のオンライン授業
久山:高校のほうではかなりスムーズにオンライン授業に移行できた印象です。元々学校内でのIT化が進んでいたおかげですね。スウェーデンでは基本的にほとんどの高校が生徒にパソコンを支給しています。うちの学校でも最初はThinkpad、それからiPadを支給してた時期を経て、今はChromebookを生徒全員に渡しています。生徒はそれを卒業時に格安で買い取ることもできます。
元々課題の出題や提出、授業予定などもすべてGoogle Classroomを使っていました。授業中にクイズを出したいときはKahoot!やGoogle Forms、テストにはDigiexamを使っている先生もいました。アルファベットしか使わないスウェーデンでは、高校レベルにもなると手書きに意義を見出されることはあまりなく、テストもオンラインでやったほうが先生の採点が楽という背景もあります。課題提出もデジタルのほうが管理も採点もやりやすいです。
久山が勤める高校の3学年9クラス分の出席率の推移。オンライン授業に移行した12週目後半(v.12)以来、出席率は高め安定。
このように元々IT化は進んでいたのですが、オンライン授業というのは今回が初めて。しかし初日、わたしの授業はなんと100%の出席率。さすがデジタルネイティブな子どもたちだなと思いました。その後も、普段うつ気味だったり片頭痛持ちで休みがちだった生徒の出席率が上がったことは、非常に嬉しかったですね。
第二波に向けて。試されるのは「親」
髙崎:各国これから夏休みを挟んで、秋には無事学校が再開できるといいのですが、その後第二波がやってくることも懸念されていますね。またオンラインに切り替わることも覚悟しなければいけないのでしょうが、長引くようになれば問題も色々生じるかと思います。
中野:長男に「普段の学校が10点だとしたら、オンライン授業は何点?」と聞いたら、「7点」と言っていました。理由は休み時間に友達と遊べないから。たとえば、既に顔をあわせて研究の仕方も分かっている大学院生や社会人が遠隔でなかなか会えない人達と学び合える機会としてのオンラインは可能性も広がりますが、子供の場合、学校はオンラインで代替できるものというニューノーマルが訪れるとは思えません。
小西:小学校低学年の場合、学校の代わりに自宅で教育を受けるという点で、子どもというよりも親の覚悟が試されていると思います。教えるプロではない親がどこまで真剣に取り組むか、取り組めるかという課題を突き付けられている気がしてなりません。勉強だけでなく、集団の中での立ち居振る舞い、道徳や情操教育、体力増進などを総合的に教え込まないといけないわけですから。これまで、学校に教育を丸投げしていたつもりは毛頭ありませんが、登校できなくなってみて、あらためて学校が持っていた役割を再認識させられます。