福祉支援団体には、生活費や労働問題に関する相談が増えてきており、今後は生活保護受給者が急増するとの見方も出てきた。リーマンショックを超える経済打撃と言われているコロナ危機は、確実に貧困層にも深いダメージを与えている。
大規模な経済不況や災害時などの非常時にこそ求められ人々に安心を与える食料支援だが、海外に比べて日本ではまだまだ足りていないのが現状だ。コロナが浮き彫りにした日本の食料支援の壁とは。
日本初のフードバンクであり、東日本大震災の時には「最も早く被災地に入ったNPO団体」とも言われているNPO法人、「セカンドハーベスト・ジャパン」のマクジルトン・チャールズCEOにコロナ禍での食料支援の現状と課題について聞いた。
コロナの影響で支援を求める人は1.5倍
セカンドハーベスト・ジャパンは、炊き出しなどで食事や弁当を提供するセントラルキッチン「marugohan」をはじめ、各拠点で個人への直接支援をする「ハーベストパントリー」を手がける団体。その他にも、食品寄贈を受けたり、施設などへ寄贈された食品を送るフードバンク活動、政策提言を行なっている。
marugohanマーケットは、まるでスーパーマーケットのようなクリーンで開放的なフードパントリーだ
特にコロナ禍においては、食品をつめたパッケージを経済的に困窮する個人や世帯に送るなどの活動を展開。支援を求める人は、コロナ以前と比べると1.5倍にもなるそうだ。そのうち、およそ6割が外国人だ。CEOのチャールズはこう指摘する。
「通常時(支援を求める人は)日本人が6割で外国人が4割です。しかし、最近では外国人が6割を占めるようになりました。特にフィリピンの方々が増えましたね。おそらく、SNSを通じて彼らのコミュニティの中で食料支援の情報が広まっていったのだと思います」
外国人労働者の中には非正規労働者も多く、マイナビの調査によると特に飲食やホテルなどの業種で雇用されている割合が高い。休業要請をもろに受けた業種では、収入減を避けられないだろう。