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I cover retail, from fashion to grocery, and its dance with technology

Photo by Chesnot/Getty Images

新型コロナウイルスの感染拡大は個人消費を多くの面で冷え込ませている可能性があるが、一部の小売企業やブランドはこの機に“うまみのある”買収先を探し始めたようだ。

破産法の適用を申請した米百貨店チェーンのJCペニーは18日、再建策の一環で250店舗近くを閉鎖する計画を明らかにした。ファッション専門紙「WWD」によると、米アマゾン・ドット・コムが同社との何らかの取引をめぐって交渉に入っているという。アマゾンがアパレル事業の拡大を目指していて、JCペニーの一部店舗の配送への転換を考えているといった説も出ている。

アマゾンは2017年に高級スーパーのホールフーズを137億ドル(現在のレートで約1兆4800億円)で買収した。ホールフーズの店舗は、アマゾンが消費者の自宅待機にともなう注文の増加に対応するうえで、食料品などのフルフィルメントセンターとして積極的な役割を果たしている。アマゾンの直近の決算では、実店舗部門の四半期売上高がホールフーズ買収以降で最高の伸びを記録している。

アマゾンとJCペニーの件から推測すると、水面下ではほかにも多くの交渉が進められているのかもしれない。とくに、資金繰りが悪化している小売企業やブランドが、資金力のある企業と割安の取引をしようとしている場合には、そうした動きが活発になっていそうだ。

すでに報じられているところでは、フードデリバリー大手ウーバーイーツの親会社の米ウーバーが、より小規模なライバルである米グラブハブに買収を提案したとされる。実現すれば、ウーバーは米国で最大のフードデリバリープラットフォームになる。

「ザ・ノース・フェイス」や「ヴァンズ」などのブランドを展開する米VFコーポレーションのスコット・ロウ最高財務責任者(CFO)は18日の電話会議で、「戦略的な機会を引き続き積極的に探っていく。コロナウイルスによる混乱でM&A(合併・買収)が増え、魅力的な資産が入手しやすくなるとみている」と語っている。

コンサルティング会社A.T.カーニーが今年、消費財企業の幹部125人とプライベート・エクイティ(PE)の幹部10人を対象に実施した調査では、約7割が今は投資の好機だと答えている。PEの手元資金がパンデミック(世界的大流行)前に1兆4500億ドルに達するなど、多くの買い手は資金も潤沢とみられ、カーニーは今年は買い手市場になると予想している。

もっとも、“大きな買い物”ばかりにはならないかもしれない。同じ調査では、消費財企業の幹部の約7割、小売企業の幹部の半数ほどが資産規模5億ドル未満の目標を探していると回答している。約45%は最近のM&Aが投資額以上の価値を生まなかったと答えており、買い手側も慎重にならざるを得ないようだ。

米ウォルマートは今月、2016年に33億ドルで買収したネット通販サイト「ジェット・ドット・コム」を廃止すると発表した。ウォルマートの通販部門の成長が続いていることを理由に挙げているが、ジェットによって都市部のミレニアル世代に訴求するといった計画はどうなったのかなど、疑問も残る。

大々的な買収も、期待外れの結果になることがあるのは覚えておいたほうがよいかもしれない。

編集=江戸伸禎

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