「そのまま運用可能」なノウハウを
職域において新型コロナウイルス対策に関する情報収集を行う場合には、1. 情報源を探す、2. それが利用できるか評価する、3. その情報を職域の対策に落とし込む、という3つのステップが必要になりますが、とくに3のステップにおいては、感染症についての知見を用いて、職域で運用できるプロセスに「加工する」技術が求められます。
これを健康管理や衛生管理の担当者、そして職場におけるマネージャーたちが行うのは、荷が重過ぎますし現実的ではありません。職域は、そのまま運用できるためのノウハウ、すなわち「ガイド」を求めています。それを提供しようと取り組んで出来上がったのが、「職域のための新型コロナウイルス対策ガイド」です。
部下が発熱、出勤はいつから?
例えば、従業員が風邪症状と発熱をして医療機関を受診したが、PCR検査が受けられず、新型コロナウイルス感染症かどうか診断ができなかったとしましょう。幸い3日ほどで解熱しましたが、軽い咳がまだ残っています。
皆さんがこの従業員のマネージャーだったら、どのタイミングで出勤させれば良いか悩みますよね。この時点では、新型コロナウイルス感染症の可能性がゼロとは言い切れません。この悩みを解決するためのヒントがあると助かるのですが……。
発症後7日を過ぎれば感染力はほぼゼロに
このように、現場で遭遇するさまざまな課題に対して解決となる情報を提供するのが学会の役割の一つです。新型コロナウイルス感染症については、この4月に入ると様々な知見が集積してきました。感染力については、発症の2日前が最大で、発症後7日を過ぎれば感染力がほとんどなくなることがわかってきました。
職場復帰する場合の目安、「8-3ルール」
さらにヨーロッパCDCや米国CDCが出している自宅隔離解除のガイドを参考にして、新型コロナウイルス感染症と診断されていない風邪症状の人が職場復帰する場合の目安を、次の表の様に定め、4月20日に公開しました。この基準はコロナ専門家有志の会のホームページでも取り上げられています。これは「8-3ルール」と呼ばれ、展開されるようになりました。