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2020.05.18

部下が発熱、出勤はいつから? 自粛解禁の悩みの備えに「学会ガイドライン」

Photo by Timon Studler on Unsplash

新型コロナウイルスとの戦いはまだまだ続く。とくに緊急事態宣言が39県で解除されるなどの動きもあるなか、今後、すべての管理職にとって、職場での部下の健康管理は大きな課題となってくるはずだ。

鈴木英孝氏は、世界最高峰の企業、アマゾンジャパン、エクソンモービルなどで活躍してきた産業医である。その専門は職域の感染症管理、健康経営、化学物質管理、喫煙対策などを含む「産業保健」だ。

鈴木氏が評議員を務める「日本渡航医学会」は、中国湖北省武漢市に滞在していた日本人が最初の民間チャーター機で羽田空港に到着した1月下旬から、新型コロナウイルスに関するガイドラインを公開してきた。社会や産業界での運用を目的に専門的な情報が「翻訳」、整理された、まさにビジネスパーソンが座右とすべき指針書である。

以下、執筆者のひとりでもある鈴木氏にその詳細を紹介していただく。


昨年の12月に中国武漢で原因不明な重篤な肺炎が発生してから5カ月がたちました。世界の感染者数は450万人を超え、死者数は既に30万人に達し、なおも増え続けています。世界中の多くの大都市ではロックダウン(都市封鎖)が実施され、経済活動も制限されています。

一部の国・地域では対策が功を制し、感染者が減少していることから、ロックダウンの部分的な解除が始まっていますが、感染拡大が止まらない、あるいは感染の現状が把握できない国・地域も多く、新型コロナウイルスとの戦いは、これからも暫く続くことは間違いありません。

発端は「渡航者への支援」


日本渡航医学会は、海外渡航者への健康に貢献する活動を続けている学術団体です。渡航医学は国内では比較的新しい医学領域で、1990年代から認知されるようになりました。海外に渡航する人が増え、海外渡航者への健康支援の必要性が生じ、国内における渡航医学の導入が始まったのです。

帰国者を乗せたチャーター機が初めて武漢を出発した1月下旬に、日本渡航医学会は新型コロナウイルスに関する最初の情報をホームページで公開しました。当初は海外への渡航者や海外駐在員を支援するための情報提供を目的としていましたが、国内での感染者が増加することに伴って国内対策の重要性が増加し、その情報提供の対象を企業、学校、自治体を含めた「職域」に広げ、日本産業衛生学会と協力して「職域のための新型コロナウイルス対策ガイド」を作成し、両学会のホームページで公開しています。
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文=鈴木英孝 編集=石井節子

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