新型コロナウイルスの感染拡大によって、欧米は3月後半からロックダウン(都市封鎖)を開始。日本も4月上旬から緊急事態宣言が発令された。未曾有の危機から身を守るため、世界中の人たちが自宅に籠り続ける生活を余儀なくされている。
これにより、さまざまな業界が大きなダメージを受けている。飲食業界もそうだが、旅行業界や民泊業界、ライドシェア業界も深刻だ。先日、これまで急成長を遂げてきたエアビーアンドビー、ウーバーの2社が従業員の解雇を発表し、注目を集めた。
逆風が吹き荒れる中でも、前を向いて歩みを進めるスタートアップもいる。それがリモートワーカーやデジタル・ノマド向け居住シェアリングサービス「Anyplace(エニープレイス)」を手がける、Anyplaceだ。
同社は先日、GA Technologiesをリード投資家として、East Ventures、サイバーエージェント(通称:藤田ファンド)、三井住友海上キャピタル、デジタルベースキャピタル、Heart Driven Fund、個人ではジェイソン・カラカニス、本田圭佑、富島寛から総額530万ドル(5.7億円)の資金調達を実施したことを発表した。
今回調達した資金をもとに、物件数やユーザー数の拡大を目指すほか、既存ユーザーの利便性を高める仕組みづくりも強化していくという。
コロナ禍はチャンス。サプライヤー獲得を強化
Anyplaceは2015年2月の創業。CEOの内藤 聡が学生時代に「ウーバーやエアビーアンドビーのように世界中で使われるサービスを作りたい」という思いを抱き、卒業と同時に渡米し、サンフランシスコで会社を立ち上げた。
紆余曲折を経て、辿り着いた事業がホテルやサービス付き賃貸物件を1カ月ごとに定額で提供する居住シェアリングサービス「Anyplace」だ。
当初はサンフランシスコ市内にあるホテルの一室を月額1600ドルで賃貸できるプラットフォームとしてスタートしたが、最近ではサービス付き賃貸物件も増加。柔軟な賃貸を求めるリモートワーカーやデジタルノマドからの支持を集め、2019年にはヨーロッパ、東南アジア、ラテンアメリカにも進出。現在は23カ国70都市でサービスを展開しており、全世界で利用可能な部屋数は約1万室を超えている。