ビジネス

2020.05.14 13:00

コロナ禍をチャンスに。シリコンバレー在住の日本人起業家が、5.7億調達で描く成長のシナリオ


サービス開始から順調に成長を遂げてきた中で、突如世界中を襲った新型コロナウイルスの感染拡大。Anyplaceもご多聞に漏れず、月間のユーザー数などが減っている。ただ、そうした中でも内藤は「コロナ禍は事業成長のチャンス」だと言う。


Anyplace CEOの内藤聡

「ユーザー数が減っているのは僕たちだけではく、どこの企業にも起きていること。直近のGMV(流通取引総額)、売上は落ちると思いますが、一方で空室が目立つホテルやサービス付き賃貸物件を獲得するチャンスでもあります。例えば、ブッキングドットコムはリーマンショックで世界経済が不況に陥り、ホテルの空室が目立ったタイミングで積極的にサプライヤーを獲得し、掲載数を増やしていったそうです。

現在、ホテルやサービス付き賃貸物件の稼働率は10〜20%ということで、僕たちもコロナ禍は事業成長のチャンスと捉え、サプライヤーを獲得していくつもりです」(内藤)

リモートワークの普及によって、デジタルノマドが増加する


また長期的な視点に立つと、新型コロナウイルスはAnyplaceにとってポジティブなインパクトも残してくれる。それがリモートワークの普及による、デジタルノマドの増加だ。

新型コロナウイルスの感染拡大を防止するため、多くの企業がリモートワークの導入に踏み切っている。日本国内に関していえば、パーソル総合研究所の発表では新型コロナウイルスの感染者が増え始めた3月に比べ、緊急事態宣言が発令された4月初めからリモートワークを実施した人は約2倍に増加している。

また内藤の話によれば、「アメリカの投資家たちも今まではリモートワークに懐疑的だったが、新型コロナウイルスによってリモートワークの可能性を信じ始めている」という。

例えば、グーグルやフェイスブックはリモートワークを2020年末まで延長することを発表し、ツイッターは「希望する社員は永久にリモートワークを可能にする」と発表した。今後もこうした動きは増えていくと見られ、内藤は「オフィスに出社せず、いろんな場所を転々として働くライフスタイルが一般的になっていくのではないか」と予想する。

だからこそ、内藤は今回のコロナ禍を契機にサプライヤーの獲得を推し進めていくことで、サービスをもっと多くの国、地域で利用できるようにする、という。


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文=新國翔大

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