これまで、健康経営に取り組む企業は、スタンディングデスクや仮眠室の設置、食堂でのヘルシーメニューの提供など、従業員が健康的に働けるオフィス環境を用意することが主でした。
しかし、テレワークでは、そのようなオフィス環境を提供することは難しくなります。そこで、普段以上に重要となるのが、2つの「ジリツ」です。
まず、オフィスとは違い生活の場でもある環境で必要なのが、『他からの支配・制約などを受けずに、自分自身で立てた規範に従って行動すること』(デジタル大辞泉より)にある「自律」です。もうひとつが『他への従属から離れて独り立ちすること。他からの支配や助力を受けずに、存在すること』とである「自立」です。
従業員全員が、この2つの「ジリツ」をワークスタイルでもライフスタイルでも実践できれば、働き方の変化の波を乗りこなしていくことができるはずです。そして、そこに今後の健康経営の姿も見えてきます。
これまで、健康経営に取り組む企業は、将来的な医療費の抑制を目的にしたり、「健康経営優良法人」の認定を目指していることが多いという印象でした。そのため、ウォーキングイベントや医師による糖尿病対策セミナーを開催したり、体重計を設置するなど、将来的な病気予防に繋げることを目的とした施策が一般的でした。従業員に健康になってもらうため、あの手この手を使ってケアをするイメージです。
しかし、今後テレワークの社員が増えていく場合、主にオフィスで提供してきたそれらのサポートは難しくなる見込みです。その時に必要なのが、いかにして「ジリツ」をサポートするかです。
とはいえ、何かを提供するのとは違い、個々人の行動や意識を変えてもらうことは簡単なことではありません。そこでカギになるのが、健康のイメージをアップデートする「健康のリブランディング」です。
例えば、健康状態に特に問題ない20〜30代の大半は、生活において健康を意識することは少ないようです。彼らの話を聞いてみると、「健康=病気ではない状態」という認識をしています。しかし、20代でも意識的に健康的な生活を心がけている人たちに話を聞くと、「健康=パフォーマンスアップに不可欠」と考えていることがわかりました。
つまり、「健康=パフォーマンスアップ=より充実した人生」という構図が描けているか。「健康=より充実した人生」というイメージを持てるようことが重要です。