経営者の思想こそが、採用ブランディング成功の秘訣


一貫性は「企業のコア」から生まれる


「採用において企業の思想を一貫して伝えること」が採用ブランディングである。

ではその企業の思想はどこから来るのか?

それは、企業ブランドの根源であるCI(コーポレート・アイデンティティ)に表されていることが多い。

よくビジョンやミッションという言葉で「企業がどこに向かうのか?そのために何をし続けるのか?」というそもそもの企業の存在意義を定義するケースが多い(無論、これらの言葉をそれっぽく作ってしまっていると採用はおろか企業ブランディング全体が徒労に終わる可能性が高いので、必要であればまずはこの策定からスタートするのが筋である)。

ビジョンという企業のコアとなる思いの実現を踏まえて企画された施策だからこそ、企業ブランドがそれぞれの候補者との接点に宿され、自然と伝わっていくことを理解していないと、良いボディーコピーはまず生まれない。CI(コーポレート・アイデンティティ)は、埃を被った額縁の中に掲げられるお飾りではなく、企業活動全般における最大の武器となり得る言葉だ。

つまり、「CI(コーポレート・アイデンティティ)→採用ブランド(採用コンセプト)→各施策」といった流れで考えていくことこそが、本義の“採用ブランディング”の考え方であると筆者は考える。

全ては、経営者の思想から始まる


採用ブランディングを考えるに当たって、CIが非常に重要なポイントであることはご理解いただけたかと思う。

企業は何かしらの意志を持って存在し、経営者が描く方向へとメンバーを引き連れ進んでいく。そのため、まずはその思想の独自性を探り、言語化していくことがマストとなると言える。灯台下暗しのようだが、意外とこの点に目を向けている経営者や採用担当者は数少ない。

逆を返せば、このポイントを抑えて企業の思想・カルチャーを候補者へ伝え共感を得ることができれば、他社へ人材が流れにくくなるだけでなく、候補者が「なぜ自分がここで働きたいと思っているのか?」を自覚することができる。

つまり、採用を通して企業のファンを増やすことができるのだ。

特に新卒就活はこれから採用時期が長期化するため、ヒトモノカネの資本を時期関係なく投入しやすい大企業が勝ちやすい構造になっていく。

その流れの中で生き残るためにも、中小・ベンチャー企業にとって「採用ブランディング」という考え方はこれからさらに必要性を増してくると考えられる。

そして、経営者や採用担当者は採用業務全体を通して「企業全体のブランドづくりの一翼を担っている」という自覚と責任を持って日々の業務に当たる必要性があると筆者は感じている。

企業のコアとなるCIに紐づく形で採用コンセプトや各施策を考え、企業の思想に呼応するメンバーを集めていく採用ブランドの構築を図る。

この過程では、コーポレート・ブランディング全体をも俯瞰する「鳥の目」を携えた上で事に当たっていくことが求められていくため、採用担当者には視座の高さがこれまでよりもさらに一層求められていくだろう。


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文=山口達也

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