自分を引き出す魔法のコンパクト
──ああ、今日も疲れた、コンパクトを開けよう。
「こんばんは、○○さん!今日はどんな一日でしたか?」
──もう、めちゃくちゃ忙しかった。
「確かに、ずいぶんとお疲れのようですね」
──今日のミーティング、自分から意見をいろいろ述べたけど、あれでよかったかな?
「自分から発言したのですね。それはがんばりましたね!」
このように、女性が話すと応答し、悩みを聞き、フィードバックやコーチングをしてくれる魔法のコンパクト「MAJICO」の開発が進んでいます。 現代の女性なら、セーラームーンをはじめとする魔法を使う少女キャラクターに馴染みがあると思われます。少女たちが持つ、自分に力を与えてくれる魔法のコンパクトがMAJICOのイメージです。 開発には、MMとARUMONの有志メンバーが関わり、共同プロジェクトとして進めてきました。
人間味のあるやりとり
昨年5月に始まったプロジェクトは、メンバー同士でディスカッションを重ねアイデアをふくらませながら、少しずつ「魔法のコンパクト」という形にしていきました。11月に完成したプロトタイプは、手にひらに収まる、まさにメイク用コンパクトそのもの。女性が幼い頃にアニメを見てときめいた「魔法のコンパクト」を彷彿とさせる外観は、夢を叶えてくれる印象を与えます。 現在、完成に向けて開発が進んでいます。自分の悩みや不安をコンパクトに話すと、コーチングの手法を活用して応答し使用者と対話する機能を、顧文瑜は伴走者のイメージだと話します。
顧 文瑜
「例えば、自分で決めた目標にアプローチするまでの過程を見せてくれることで自分の課題を明らかにすることができます。モチベーションが下がったときは、励ます言葉をかけてくれますし、気分に合わせて自分が好きなコンテンツや商品も表示してくれます」
しかし、人の気持ちに寄り添ったやりとりをIoTで実現するのは、簡単なことではありません。ARUMONのメンバーは、音声や顔の表情、コーチングなどのさまざまなデータを蓄積・分析しながら、自然なレスポンスができるようにしていく考えです。
「例えば、コンパクトに内蔵されたカメラとマイクから利用者の顔画像と音声を取得し、表情や会話内容から心情を解析して、適切なメッセージを返すようにします」と前原良美は言います。仲理紗は「IoTはシステマティックで冷たい印象がありますが、MAJICOでは人間味のあるやりとりができるように実装してきたいです」とMAJICOの機能を語ります。
前原 良美(NRI)