経済・社会

2020.04.22 12:30

スーパーで90万円買い物? コロナ禍で世界の超富裕層はどう過ごしているか


そしてもうひとつ、富裕層がクルーザーを選ぶのを後押しする重要な理由がある。それは、世界中どこにも、豪華クルーズ客船を受け入れる港がない一方で、モーターボート、ヨットなどの私用船舶向けのマリーナは依然開港しているということだ。

豪華客船ダイアモンドプリンセスのケースで感染者が2週間に10人から700人まで増加し、世界でもっとも知られる新型コロナウイルスのクラスターのひとつを発生させる原因となったのは、衛生環境を根本的に整備できなかったことが原因だったが、反面クルーザーは、客船ほど海上で監視されることがないうえ、比較的衛生基準に適っている。


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豪華クルーザーは衛生面も安心


クルーザーはというと、チャーターされていた船舶が返却され、次の顧客に貸し出される前に、隅から隅まで消毒される。また船によっては、病原となりうる要因を取り除く特殊フィルター付きのエアコンが装備されているものもある。さらに、マリーナでクルーザーに乗船する人も下船する人も、清掃チームが作業している間はほぼ常に屋外にいることになるが、豪華客船の場合、ターミナルはほぼ常に乗客とスタッフで溢れている。

これらの条件から判断して、公衆衛生に関わる世界的な危機のさなか、他の船舶関連の業界が停滞している状況にあっても、豪華クルーザーをチャーターするのはアリということだろう。

「富裕層は、所有する富を利用し、貧困層に比べて疫病の流行を跳ね除ける力があります」と説明するのは、米ウィスコンシン大学で医学史と生命倫理学を専門とする教授リチャード・ケラー氏だ。なぜアスリートや「コネ」のある人たちが、その他大勢より先に検査が受けられるのかと尋ねられたドナルド・トランプ米大統領は、「おそらく、人生とはそういうものだからだ」と答えている。

一般に禁じられていることは同じようにできないかもしれない。しかし富裕層には、一般人には与えられていない「富裕層ならでは」の選択肢がある。

アメリカでは、別荘を所有する者は、ニューヨークのような感染の中心地を脱出し、郊外ののどかな地域に向かった。ハンプトン、マサチューセッツ州ケープコッド、サウスカロライナ州ヒルトンヘッドやフロリダ州パームビーチなどへ、われ先にと旅路を急いだ。
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文=Paolo Mossetti 翻訳=大村紘代 編集=石井節子

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