「ライブ配信には娯楽以上の価値がある」 宮下ゆりかが365日連続配信で気づいた、ライバーの可能性

ライバーとして活動する宮下ゆりか


“個人を推す”から”枠を推す”への転換


──これまでの活動を振り返って、転機となったのはいつでしょうか?

17 Liveのイベントで世界1位を獲得したときですね。それまでもイベントで勝つことはできていたのですが、自分の中にもどかしさはあって……。ファンが私の目標に共感してくれるかどうかの実感が得られていなかったんです。

私が世界一を獲得したイベントはチームワーク、外からの信頼関係が鍵になるイベントでした。対象ギフトは1日で1アカウント最大4つしか獲得できない条件付きのギフトで、それ以外のギフトをたくさん贈ることができる人でも応援しきれない。とにかく応援してくれる人数が必要だったんです。

このイベントを通して、私がやってきたことは間違いではないと思いましたし、ライブ配信はお金ではなく、チームワークが大事であること体現でき、「お金だけじゃない」というライブ配信の可能性を感じることができました。

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──具体的に、どのようなことをやってこられたのでしょうか?

“チームをつくる”ということです。具体的に私はライブ配信を通じて、ファンの存在意義を見出したり、役割分担もやっていました。例えば、コメントを盛り上げる役割をつくったり、広報担当をつくったり、作戦立ててもらう参謀をつくったりしました。いかに、ひとつの村をつくれるか、を考えていました。

365日も配信を続けていると飽きが出てしまい、途中でチームが分散してしまう時期もありましたが、そうした問題をファンが自分ごと化し、問題意識を持って解決しようとしてくれて。前述の世界一を獲得したイベントもファンが教えてくれたんです。

ライブ配信の醍醐味はコミュニケーションなのですが、そのコミュニケーションは個人と個人だけでなく、横のつながりもある。個人対nのパターンもありますし、n対nのパターンもある。“個人を推す”から”枠を推す”方向に転換できたからこそ成果が出たと思います。

ライブ配信と水商売の違いは、チーム戦か個人戦か。応援のツールとしてギフトやお金があるのは似ていますが、”枠”で応援するのがライブ配信だと思っています。

──“個人を推す”から”枠を推す”、というのは面白い考えですね。

個人対個人で、例えば色恋のように接される配信スタイルもも最初は良いかもしれませんが飽きが来ます。目標に納得してもらい、ファンに寄り添い続けることが大事です。そうすればファンはより力強い目標の支援者になってくれますし、私ではなく私の目標を推してくれます。
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文=新國翔大 写真=小田駿一

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