ビジネス

2020.04.14

新型コロナウイルスによる四重苦をどう乗り切るか、求められる「発想の転換」

和歌山発のベンチャー企業 glafit


どうやって売るかではなく、どうやって貢献するか


今はみんながしんどいのだ。自分たちが助かることだけを考えるのではなく、こんな時だからこそ、どうやって売ろうと考えるより、どうやって役に立とうか、貢献しようか、と考えることにした。そう考えたら、目の前の霧が晴れて視界が良好になるように、迷いがなくなり、ある発想が生まれた。それが、「飲食店×glafit=配達(フードデリバリー)」である。飲食店などのフードデリバリーに、当社のglafitバイクを使っていただこうという提案だ。

不要不急の外出自粛要請が出て以来、飲食店で外食をする客足が極端に減った。東京都を含む緊急事態宣言対象の地域では、人との接触8割削減が目標とされているため、家族以外と食事をとる機会もほぼなくなった。馴染みの飲食店のことは助けたい、でも、今複数人で食事したりお酒を飲んだりすることはタブーである、というジレンマを抱える人々。

圧倒的な打撃を受けた飲食店は、起死回生の策としてテイクアウトやデリバリーメニューの充実を図っている。特に、Stay at Homeが叫ばれている今、フードデリバリーは都市生活者にとって重要なライフラインとなってきた。フードデリバリー需要が急増したことで、配達員不足を耳にするようになった。また、都内ではフードデリバリー配達員が、シェアリングの自転車(東京都内10区で貸出・返却が可能)を借りて配達するのを見かけることも多く、配達員のみならず配達用の乗り物も準備が追い付いていないことがわかった。ここで、私たちの出番を自覚した。誰かの役に立てることが見つかったのだ。

フードデリバリーを行う飲食店や配達員にglafitバイクを無償貸与


フードデリバリーを行う飲食店やフードデリバリーの配達員を生業にしている個人にglafitバイクを無償貸与し、新型コロナウィルスの対策支援の一助になればと思い、貸与希望者の募集を開始。ふだん車を使わない都市部にこそ、小型で軽快なglafitバイクが役に立てるに違いないと考え、3月30日に2カ月間の無償貸与を東京都からスタートした。早速かなりの反響をいただき、複数の飲食店・個人から問い合わせがあった。そのため、4月2日にはglafitバイク更に20台を追加することにした(無償貸与期間は6月中旬まで継続予定)。

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この無償貸与で支援できるのは、飲食店だけではない。その店で働く人や家族、そしてデリバリーされたフードを食べる市民の皆さんだと考えている。「在宅疲れ」という言葉も耳にするが、外出自粛要請によって社会生活からの離脱が2週間3週間1カ月となってくると、今まで抱えたことのないストレスが現れてくる人もいるだろう。そんなとき、心身を癒してくれたり、元気の源になることのひとつが、「食べる」ことだと思う。特に馴染みの店の味は、がんばろうという活力を与えてくれるかもしれない。
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文=鳴海禎造

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