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和歌山発のベンチャー企業 glafit

「最も強い者が生き残るのではなく、最も賢い者が生き延びるのでもない。唯一生き残ることができるのは、変化できる者である」

これは進化論を唱えたイギリスの自然科学者のチャールズ・ダーウィンの言葉だ。この言葉にあるように、いま新型コロナウイルス感染症の感染拡大によって、あらゆる業界に従来の枠組みからの“変化”が求められている。コロナショックを機に、「いかに変われるか」が今後を生き抜いていくために必要な条件と言っていいだろう。

今回、新型コロナウィルスによる影響によって苦しい状況に追い込まれながらも、発想の転換を行い新たな取り組みを開始している、和歌山県のベンチャー企業の事例を紹介したい。

新モデルの海外展開の断念、イベントの中止、販売機会の損失、開発・生産の停滞、まさに四重苦とも言える状況を、どのように打破したのだろうか──。


「大変な状況」。今、日本中の事業者に問いかければ、ほとんどがそう答えるであろう経済状況の中、私もご多分に漏れず、苦しい状況下にいる。私が経営するglafitは、「移動を楽しくする」を使命に、100%電気で動くバイクなどを製造販売している和歌山発のベンチャー企業である。会社自体は新しい(2017年設立)が、おかげさまで、2020年のはじめまでは、経営も順調だった。そう、新型コロナウィルスによって、現在のような状況になるまでは……。

四重苦であきらめかけた


新型コロナウィルスによる影響はじわりじわりとやってきた。そして、先日の政府による緊急事態宣言によって決定的に困難な状態に陥った。まず既存店の売り上げ低下による経営難が忍びより、それから、glafitの今期最大の新規チャレンジであった「新モデルの海外展開」が、新型コロナウィルスによって断念せざるを得なくなった。

これに向けた準備期間は約1年、多額の投資もすべて吹っ飛んだことになる。加えて、春先の販売シーズンに向けて企画していたすべてのイベントの中止によって、1年でいちばん販売が伸びる時期の機会を損失。さらに、中国などのサプライチェーンが寸断され、開発・生産が滞ることで、新商品投入遅れを招いてしまった。これはまさにglafitにとっての四重苦、もうさすがに無理だと事業の継続をあきらめることまで考え、眠れない日々が続いた。

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もうダメだ、からの思考の転換


「逃避してしまおう!」と、すぐに考えなかったのが救いだったのかもしれない。自分は今とても苦しい、しかし、苦しいのは自分だけでなく、周りの事業者もみんな苦しい。特に大きな打撃を受けているのが、飲食店だろう。

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出典:トレタ

データは2020年1月から3月における東京都の飲食店の来店者数の推移だ(トレタ調べ)。これを見たときひどく絶望的な気持ちになった。絶望と同時に、この状況で、自社が何の役にも立てていないことに、つらくなってしまった。絶望的な状況を改善することは自分にはできないと思うが、一方、このつらさを解消するには、方法があることに気づいた。──自社が今、誰かの役に立てればいい、何かに貢献できたらいいのだ、と。

文=鳴海禎造

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