SDGs時代の、世界をよくする仕事の作り方

フードロス削減サービス「TABETE」

「19時に、いつもの店に集合ね」。そんな会話は、もはや遠い昔のことに思える。

新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、私たちはパラダイムの転換を迫られている。それは飲食業界で特に顕著だ。

東京都の小池百合子知事は、4月10日、居酒屋を含む飲食店に対して、11日から営業時間を朝5時から20時、アルコール類の提供は19時までという協力要請を出した。

これまで苦しいながらも営業を続けてきた飲食店は、究極のジレンマに陥っている。

感染拡大防止のために、営業を自粛すべきだと頭ではわかっている。だが、休業すれば、経営や生活が立ち行かなくなる。スタッフの雇用を守ることも難しい。とはいえ、店を開けたところで、売り上げの目処も立たない。

せめてもの対策として、営業形態をテイクアウトに切り替える店が一気に増えた。だが、「テイクアウトにすれば万事解決」するはずもない。テイクアウトを始めた飲食店は、いま、さらなる課題に直面している。テイクアウトしていることが認知されていないこと。さらに、その需要予測が立たないことだ。

そんな厳しい状況下、食系プラットフォーマーが、飲食店支援の動きを加速している。組織やチームの垣根を超えて、連携プレーで新たな仕組みを次々と創出しているのだ。

フードロス、テイクアウトで提携


「有事のときは、データドリブン(データによる意思決定)でやる来客予測には限界があります。我々のようなプラットフォーマーは、こうした危機的状況でこそ役に立てる」

コークッキング代表取締役CEOの川越一磨氏は、確信に満ちた顔でそう言う。川越氏は気鋭の社会起業家で、2018年4月に始めたフードロス削減サービス「TABETE」などを手がけている。

飲食店やパン店などでは、用意した食材や食事が残り、廃棄せざるを得ないことが少なくない。TABETEは、そんな廃棄の危機にある食品を、消費者が手軽に「レスキュー」できるウェブプラットフォームを提供している。

デンマーク発祥のフードロス削減サービス「Too Good To Go」をモデルに、大手飲食チェーン勤務の経験を持つ川越氏と、大学時代の後輩で取締役CPOの伊作太一氏が立ち上げた。

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コークッキング代表取締役CEOの川越一磨氏(写真左)と取締役CPOの伊作太一氏(右)

会員はTABETE経由で、売れ残りつつある料理やパンなどを割安価格で買える。売れれば当然、店も喜ぶ。そして1つ売れるたび、コークッキングには150円が入る仕組みだ。

そのTABETEが、3月17日から、同じ食系のプラットフォーマーであるクラダシと手を組み、飲食店応援プロジェクトを立ち上げている。

TABETEは同サービスの会員に対してレスキューコードを配布(4月末まで利用可能)。このコードを使えば、TABETE経由でテイクアウトする際に100円割引になる。割安感を高めることで、食材や食事をレスキューする人の増加を見込む。

一方、クラダシはメーカーの余剰在庫品などを特別価格で販売する「KURADASHI.jp」上で、来客数が減った飲食店のコースメニューを「レスキューコース」として割安で提供する。消費者は、同サイトを使ってコース料金を先払いし、行かれるときに飲食店に予約を入れる仕組みだ。

これらの取り組みを、両社は互いのホームページやSNS上で紹介。「飲食店を応援する」という機運を高める。

2社には共通のテーマがある。「フードロスの削減」だ。

それぞれ、解決策の繰り出し方は違う。でも、目指す世界が同じなら連携すればいい。非常事態下での業界初のコラボは「提案から1週間で形になった」(川越氏)という。

文=瀬戸久美子

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