ビジネス

2020.04.13 06:30

グラブハブが提供する「無料の宣伝機会」、その落とし穴とは


新型コロナウイルスによるパンデミック(世界的大流行)の発生以来、グラブハブは飲食業界の経済的苦境を利用しているとして、たびたび非難を受けてきた。3月にも報じられた「1億ドル規模の救済」パッケージにしても、多くの人が受けた印象とは異なり、手数料を免除するものではなく、料金徴収の一時的な先送りにすぎないことが判明した。しかも、同社が徴収する料金は、注文総額の35%にも達するうえ、一時停止されていた徴収は、早ければ4月13日にも再開される。

現在、中小のレストランは至るところで存亡の危機に立たされており、デリバリーやテイクアウトによってスタッフ人件費やその他の出費をまかなうため、シェフや経営者は長時間労働を強いられている。中には、金銭的にあまりに厳しいため、デリバリー事業すら取りやめて、少なくとも現在のパンデミックが収まるまでは完全に休業する決断をしたレストラン経営者たちもいる。

グラブハブの広報担当者は、状況が「流動的」なことを理由に、この支払い先送りパッケージの適用条件については相談に応じることを示唆していた。だが実際には、料金について交渉しようとしても無駄だったと、複数のレストラン経営者が証言している。

シュロウ・レストラン・グループ(Schlow Restaurant Group)の戦略的事業部門ディレクターでパティシェでもあるアレックス・レヴィン(Alex Levin)は、ウーバーイーツ(UberEats)をはじめとする一部のプラットフォームが、時期限定で売上の日払いを可能にするといった対策を打ち出している一方で、手数料については、どのプラットフォームも交渉に応じる姿勢が見えないと指摘する。

シュロウ・レストラン・グループでは、自社のウェブサイト経由のオンライン注文への移行を進めている。これは、レストラン向けのPOSシステム「トースト(Toast)」の活用により、非接触ピックアップ(店員と直接接することなく料理を受け取れるサービス)と直接配達のオプションを提供するものだ。

さらに、デリバリーサービスのドアダッシュ(DoorDash)との連携により、一律の配達料金が適用される。「この仕組みにより、私たちはこれまでと比較して100%の売上を確保できる。これは、私たちの運転資金のニーズを考えた時に、極めて重要な点だ」とレヴィンは語る。だが、それ以外の状況はほとんど変わっていないという。

「私は今でも、ウーバーやポストメイツ(Postmates)、グラブハブ、キャビア(Caviar)、ドアダッシュに対して、連日のように働きかけているが、こうした企業は(手数料の)率を変えようとしない」

翻訳=長谷睦/ガリレオ

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