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2020.04.16

顧客情報の一元管理を実現 「CRM」の代表的企業と最新のツール事情

Mikko Lemola/Shutterstock.com

顧客ファーストな視点でサービスを提供する上で、顧客情報の一元管理は欠かせない。ロイヤルカスタマーか通常顧客か、サービスにどのくらい金額を使っているのかなど、リアルタイムに情報を管理するのには「CRM」が必要だ。

多くの企業が営業支援や販売活動、顧客管理のためにCRMシステムを導入し、顧客に合わせたアプローチやサービスの提供を行うことで、売り上げに繋げている。

SaaSやサブスクリプション型のサービスを提供する企業にとっては、CRMをいかに使いこなすかで、チャーン(解約)防止ができるか否かが決まると言っても過言ではないだろう。

今回はCRMの基本的な意味と、顧客との関係を向上させる手法やツールについて解説していく。

CRMとは「Customer Relationship Management」


CRMとは「Customer Relationship Management」の略語で、顧客関係の管理を通して売上や収益性の向上を狙うマーケティング手法を指す。

CRMツールとしては、江戸時代では顧客台帳である「大福帳」が該当するが、現在はどのような形に発展しているのだろうか。

そもそもCRMという言葉は、1990年代のアメリカ発祥のものだ。情報化社会への転換と時を同じくするように、CRMの概念が生まれ、1998年にアクセンチュアが出版した『CRM 顧客はそこにいる』という著書がきっかけで、急速に広まったとされる。

日本でも2000年代に入るとCRMが浸透し始め、現代の高度情報化社会においてはCRMを活用した顧客管理が当たり前となった。

紙で管理していた時代は、顧客の情報を探すのに苦労したり、書き間違えによる人為的ミスが発生したりと顧客管理が煩雑になりがちであった。

CRMツールが登場したことで、煩雑化していた顧客情報をWeb上で一元管理できるようになり、「CRMなくしてはマーケティング活動ができない」ほど重宝される存在になった。

現在、CRMツールは多様化しており、顧客管理はもちろん、数字分析・レポーティング、メール配信、営業支援、SNS連携など様々な機能が存在している。

CRMの代表的企業と最新のツール事情


ここでは、CRMの代表的企業と最新のツール事情について紹介する。

SalesForce(セールスフォース・ドットコム)


1999年に誕生以来、着実にユーザー企業を増やし、今や世界No.1シェアを誇るCRMだ。15万社を超える企業がSalesForceを活用し、ビジネスの発展につなげている。

見込み客の獲得や商談などの営業支援、顧客満足度を高めるカスタマーサクセスからマーケティングまで幅広い職種のプレーヤーが、SalesForceを通して、顧客に合わせた最適化なアプローチを行える。

大小問わず、様々な事業者の導入実績があり、個別のビジネスニーズによってカスタマイズできたり、年3回のバージョンアップが行われ、常に最新のソリューションを提供していたりすることから、多くの企業から根強い人気を誇るCRMと言えよう。

最新のツール事情としては、AIによるスコアリング機能が特筆すべきことだ。過去の営業活動を分析し、商談化しやすいパターンをAIが分析し、営業先の絞り込みができる。

限れた人的リソースを最適化し、最大限の成果を上げる上では、とても重宝する機能となる。

Microsoft Dynamics 365(マイクロソフト)


Microsoft Dynamics 365は、マイクロソフトが提供するCRM。Salesforceに次いで世界第2位のシェアを占める。Microsoft製品との連携がスムーズなことから、Windowsを主体に使っている企業と相性が良い。

CRMツールを導入したものの、機能が複雑でなかなか使いこなせないというケースもあるが、Microsoft製品に慣れていれば、その延長線上でMicrosoft Dynamics 365が使えて、早い段階でCRMツールを駆使した営業活動を行えるのが特徴だ。

Microsoft Officeで営業スケジュールを管理し、ExcelやPowerPointによる資料作成など、商談に必要なツールとのシームレスな連携は、CRMを活用したビジネス基盤構築を簡単に行えるだろう。

Zoho (ゾーホー)


ゾーホーが提供するZohoは、IT産業の成長著しいインド発のCRMツールだ。日本でも近年、導入企業が増えており、注目を集めている。その理由としては、カスタマイズ性の高さが挙げられる。

画面のレイアウトや「見込み客」、「商談」といったタブの整理など、顧客に合わせて自由にカスタマイズできるため、自社のターゲットとなる業種や企業に合わせた顧客管理がしやすくなる。

また、Zohoは月額1ユーザーあたり1440円から利用可能なため、リーズナブルな価格で導入できるのも大きな特徴だ。低価格でありながら、ハイパフォーマンスを発揮できるCRMを有するため、導入コストを抑えたい企業にとっては使い勝手のいい製品だろう。

kintone(サイボウズ)


ここからは日本のCRMツールを紹介する。

kintoneはサイボウズが提供するCRMシステムだ。月額1ユーザーあたり780円と非常に低価格なこともあり、これまで1万社以上の導入実績がある。

業務改善アプリケーションをプログラミングせずにドラッグ&ドロップで作成することが可能で、自社に合わせた顧客管理システムを作ることができるのが特徴だ。直感的なユーザーインターフェースとシンプルな構造により、システム構築を短時間で行える。

また、APIやプラグインを利用することで、100種類以上の外部サービスと連携できるため、活用の幅を広げられる拡張性が高いのが特徴だ。

eセールスマネージャー(ソフトブレーン)


eセールスマネージャーは、ソフトブレーンが提供するCRMだ。月額1ユーザーあたり6000円から導入が可能で、これまで5000社を超える企業で使われている。

eセールスマネージャーは、フィールドセールスに特化したCRMであり、個々の営業活動の見える化や商談進捗、予実管理など、日本の営業スタイルに向いた顧客管理システムと言える。その使い勝手は、導入後の定着率が96%という数字からも伺えるだろう。

企業が営業やマーケティング活動をする上で重要な指標やデータを活用できるCRM。経営基盤を支えるシステムとして情報武装し、データドリブンな組織へと変革するためには必須なツールだ。

文=古田島 大介

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