中国AIのスピーカー市場が好調 3大ブランドがほぼ独占

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中国ではAIスピーカーの出荷台数が順調に伸びているようだ。

調査会社RUNTO(洛图科技)の報告書「中国AIスピーカー小売市場の月別追跡」によれば、2019年に中国で販売されたAIスピーカーの量は3664万台となり、2018年比で125%成長。市場規模は74.4億元(約1171億円)となり、2018年比で104%の拡大をみせたという。

2018年下半期以降、アリババグループが開発したAIスピーカー「AliGenie」(天猫精霊)と、バイドゥ(百度)シャオミ(小米)の製品が売上上位を独占。報告書は、3大ブランドの市場シェアが2019年に92%にいたったと指摘している。なお、3大ブランドが市場を独占するにいたった大きな要因は価格だ。性能比価格で他社製品の追随を許さず、ユーザーの厚い支持を得ているという。

一方、中国国内では2019年に新しいAIスピーカー製品が相次いで登場している。しかし、そのほとんどが「VIDDA」「360」「Midea」などの海外ブランド、もしくは「Marshall」のような伝統的なスピーカーブランドによるもので、国内の新興中小ブランドが人気や支持を得るということがほとんどない状況となっている。

さらなる普及の余地がある


そんな中、中国のAIスピーカー市場は今後、「スクリーン時代」を迎えるとの指摘もある。

2019年までに中国国内で販売されたスクリーン型AIスピーカーは14種類で、市場全体のシェアの内13.9%を占めたという。これは2018年より12.1%拡大した数値で、12月単体の数値ではシェアが20%を超えた。スクリーン型AIスピーカーの急速な普及の裏にも価格の下落があるが、加えて既存のAIスピーカーより多くのコンテンツやサービスが提供される仕組みがあるため、ユーザーや各企業に歓迎されているというも事情もあるようだ。

2020年以降も中国のAIスピーカー市場はさらに広がりをみせると予想されている。まずその理由として、無線充電タイプ、プロジェクションスクリーン搭載型など、製品群の機能が継続的にアップグレードされている反面、AIスピーカーそのものの普及率(浸透率)は13%とまだまだ低い。一家に一台というレベルまではほど遠く、さらなる普及の余地がある。併せて、中国ではスマートホーム市場が急速に発展をみせており、スマート家具などと通信する端末として認知が高まっていくと予想されている。

ここ数年、掃除用ロボットとともにサービスロボット市場を牽引するAIスピーカーだが、中国のレポートを限りその勢いはいましばらく続きそうだ。

連載:AI通信「こんなとこにも人工知能」
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文=河 鐘基

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