日本人が知らないエストニアのいま

Photograph by Toolbox Estonia

3月12日、エストニアは緊急事態宣言を発令した。3月13日から5月1日まで原則有効なこの宣言は、エストニア国民の生活にどのような影響を与えるのだろうか。緊急事態宣言の内容と、それに呼応する初動対応について現地からレポートする。

エストニアは数週間前まで、極めて落ち着いた状況だった。2月26日に初めての感染者が確認された一方で、感染者の伸びは横ばいで、3月5日時点でも3人。しかし3月6日に10人、3月12日に16人と拡大。感染拡大を鑑みて、エストニア政府は、感染者が27人に至った3月12日の深夜に緊急事態宣言を発令した。その内容は次の通りだ。

まず、小学校から大学までの教育機関の閉鎖。3月13日を最終登校日とし、16日からはリモート授業に切り替えることを発表した。これは国内全ての学校が対象で、措置の見直しについては2週間毎に行われる方針。なお、幼稚園の扱いについては地方自治体に一任している。

次に入管。エストニアはシェンゲン協定加盟国で、通常時は加盟国内での行き来に関して入管を設けていない。しかし、13日の時点で、日本を含むリスク国からの入国者に対して隔離措置を取ることを決定。そして、感染者が100人を超えた14日に発表された追加措置では、日本を含む外国人の入国を原則禁止。住民権を持つ者や出国者への制限は設けないとしながらも、事実上の国境閉鎖となった。

加えて、公的集会やコンサート、スポーツ大会、ビジネスカンファレンスを一貫して禁止。また、博物館、映画館、ジム、サウナ施設等の休館を決定した。これらの措置は緊急事態宣言の効力が続く5月1日まで有効なものであるとしている。なお図書館は一部に限定しながらも、運営を続ける方針だという。

このように、エストニアが発令した緊急事態宣言は、トップダウンアプローチで、国民の活動を制限する厳しい内容を含むものだった。さて、これらの発令に対してどのような反応があったのだろうか。

生活は一部混乱、ビジネスはスムーズな移行


緊急事態宣言を受け、生活面は大きく混乱した。国民は動揺を隠せず、国内のスーパーでは断続的に買い占めが発生。首都・タリン市内の一部スーパーマーケットでは、トイレットペーパーなどの紙製品やパン類などを中心に棚が空になった。とはいえ、食料品の供給は現在も続いており、現地のスーパーマーケットも冷静な対応を呼びかけている。

 
一部商品の買い占めが進むタリン市内のスーパーマーケット

文=齋藤アレックス剛太

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