注目される学校閉鎖の行方
エストニアでは、2000年代初頭から教育シーンのIT化が進んでおり、教師と生徒・保護者のコミュニケーションを促進するサービス「e-kool」が普及している。同サービス上では、生徒や保護者とのやり取りは勿論、出席や宿題、そして成績の管理を行うことが可能だ。
このような地盤があるため、オンライン環境への移行はスムーズであることが予想されるが、e-koolは完全オンライン環境で授業を行うことを前提としていないため、現場レベルでの対応が注目されている。
現地公立学校で音楽教師として働く新藤瑞月さんは「希望者に関してはSkypeでのレッスンに切り替えるが、従来どおりのレッスンができるのかを懸念する親御さんもいる」とコメント。また、英語教師のヴィーレス・クリスティさんは、「授業スタイルは先生に委ねられている。教師は政府からの情報や、FacebookなどのSNSを活用しながら、どのような方式を採用するか模索している」と話した。なお同氏が勤務する学校では、必要に応じて生徒に対するPCの貸し出しを行うという。
とはいえ、電子国家と称されるエストニアでも実際の生活シーンは日本と大きく変わらない。緊急事態宣言下の約50日で、観光業者や飲食店、そしてジムやサウナが大打撃を受けるのは必至だ。同国の歴史の中でも、ここまで厳しいトップダウンアプローチが採用されるのは珍しいという。そのなかで、エストニア政府はどう舵取りをし、そして国民はどう応えていくのだろうか。引き続き現地から注視していきたい。