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2020.03.14 18:00

日本が誇る、世界レベルの甲州スパークリング|美酒のある風景

シゼン スパークリング甲州 2013

Forbes JAPAN本誌で連載中の『美酒のある風景』。今回は3月号(1月24日発売)より、「シゼン スパークリング甲州 2013」をご紹介。甲州100%のワインを造り、シャンパーニュ方式で発泡。苦味を出さないように果皮とのコンタクトを少なくして搾汁率を低くするなど、大きな画期的な取り組みの末に生まれた1本だ。


甲州とは、1000年以上前にヨーロッパからシルクロード経由で渡来したブドウを祖先とする日本固有のブドウ品種。ほどよい甘味と酸味の中に、わずかに苦味があるのが特徴の甲州はワインに適しているといわれ、主に山梨県で栽培されてきた。04年にはDNA鑑定によりヴィティス・ヴィニフェラ(ヨーロッパに起源をもつワイン用ブドウ)の系統と判明し、05年には著名なワイン評論家であるロバート・パーカーJr.が甲州100%のワインを「The Next Sushi Wine」と高評価した。13年に和食がユネスコ無形文化遺産に登録されたころから、日本ワインにも注目が集まり、甲州も世界的な認知度を高くしている。

それらとタイミングを同じくして「日本で世界に通用するレベルのワインを造りたい」と静岡県富士宮市に富士山ワイナリーを設立したのは米国人のアーネスト・シンガー氏だ。長年、輸入やオークションなどワインビジネスに関わってきた氏は、甲州というブドウ品種の潜在的なポテンシャルを確信し、甲州100%のワインを造り、18年からはシャンパーニュ方式で発泡させる「Shizenスパークリング甲州」をリリースさせた。その造りにあたっては、世界トップの白ワインの造り手であり、ボルドー大学醸造学部長ドゥニ・デュブルデュー教授を醸造家として招聘。日本で主流であるブドウの棚栽培をやめて垣根栽培をとりいれ、甲州の特徴である苦味を出さないように果皮とのコンタクトを少なくして搾汁率を低くするなど、多くの画期的な取り組みの末にこの1本が生まれた。

「ドサージュ(加糖)も1リットルあたり2gと低く、すっきりした果実味と力強い泡の立ち上がりが特徴のShizenは乾杯の一杯にふさわしいスパークリングワインです。当店のスペシャリテでもある『吟醸からすみ蕎麦』とも最高のマリアージュ。からすみの旨味と、甲州の爽快かつ甘やかな香りをぜひ一緒にお楽しみいただきたい」と語るのは西麻布の蕎麦割烹「こうもと」店主の杉浦康祐氏だ。

濃厚なからすみ、香り高い蕎麦とオリーブオイル……口中を強烈な旨味でいっぱいにしたあと、「Shizenスパークリングワイン甲州」を含めば、そのふんわりと丸く収まる味わいに誰もが笑顔になるだろう。幸先のよい一年のスタート、そんなシーンにふさわしいペアリングだ。

Shizen Sparkling Koshu 2013 シゼン スパークリング甲州 2013

品種:甲州100%
容量:750ml
度数:11.5%
価格:5000円(税別参考小売価格)
問い合わせ:富士山ワイナリー(ミレジム)03-3233-3801

photographs by Yuji Kanno | text and edit by Miyako Akiyama

この記事は 「Forbes JAPAN 3月号」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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