スマート・サモンは、アプリ内のボタンを押すことで、近隣に停めた車両を自動運転で呼び寄せる機能だ。利用できるのは「自分の車が視界に入る範囲内」に限定されているが、大きな荷物を持っている場合や、雨天の際に役立つとテスラは述べている。
イーロン・マスクは先日、ツイッターの投稿でスマート・サモンの進化版と呼べる機能を視野に入れていることを明かした。それは、「逆スマート・サモン」とも呼べる機能だ。
スマート・サモンは車を駐車場から自動運転で呼び寄せる機能だが、逆スマート・サモンはその反対の動作をする。オーナーが目的地付近で車を下りた後、テスラ車は自動運転で駐車スペースに向かうのだ。これは非常に便利で、時間の節約になる機能といえる。
例えば、レストランで急いでランチをとりたいが、店の周辺に駐車場の空きスペースがなかなか見つからない場合がある。そんな時に逆スマート・サモンは威力を発揮する。店の前で車を下りたら、駐車場探しは車に任せてしまえばいいのだ。
もちろん、この機能を実現するためには課題も多い。現状で、スマート・サモンの利用は車が目視可能なエリア内に限定され、オーナーは安全を確認しつつ、テスラの専用アプリのボタンを押し続けることを求められる。ボタンから手を離せば車は停止する。
つまり、逆スマート・サモンが実装されたとしても、オーナーは車が無事に駐車スペースに収まるのを見届ける必要がある。これでは時間の節約にならないのだ。
しかし、マスクによると、テスラのオートパイロット機能は進化を続けており、AI(人工知能)を用いた学習を行っている。自動運転テクノロジーがさらに進歩し、法整備が整えば、好きな場所で車を停めて、駐車場探しは自動運転に任せることも可能になるだろう。
テスラの公式ブログには、2016年時点で次のような未来予想が描かれていた。
「テスラ車は将来的に、あらゆる場所に自律走行で向かいオーナーをピックアップするようになる。迎えに行く途中で、充電ステーションに寄って自分で充電を済ませるようになる。オーナーのカレンダーとも同期し、事前に決めた場所に時間通りに自動運転で向かうことも可能になる」
ここで述べられたような機能が実現するのは、まだかなり先のことになるだろう。マスクが未来のテクノロジーを、今すぐにでも実現可能なものであるように話すのはいつものことだ。4年前のテスラの公式ブログで描かれた世界は、2020年の現在もまだ、かなり先のことに感じられる。