タバコへの憧れから禁煙を応援する「シガレット」に
「禁煙応援シガレット 組み立て販売キット」は、紙製の自動販売機を組み立てる楽しさも。
本物のタバコさながらに指の間に挟みながら食べたことのある人も多いのではないだろうか。懐かしの味の駄菓子、ココアシガレットもロングセラー商品として、消費者の成長と共に進化を遂げている。
もともとタバコを吸う大人に憧れる子ども向けのパロディ商品として、昭和26(1951)年に作られた砂糖菓子のココアシガレット。ピーク時には年間1800万個出荷していたという。
商品を製造販売するオリオンは新たに「禁煙応援シガレット 組み立て販売キット」を販売している。「タバコを吸うより、この一本。」と、子どもだけでなく本物のタバコを吸うようになった大人にもウケる商品を開発した。
自動販売機型の紙製パッケージを組み立て、“taspo”ならぬ“nospo”という付属のカードを差し込むと、ココアシガレットの箱が出てくる仕組み。親子で組み立てて遊ぶことができる。
ココアシガレットは幅広い世代からの認知があり、親子で楽しめる工夫を足すことで、駄菓子離れした大人を呼び戻すだけでなく、現代の子ども世代にも知ってもらうきっかけとなる。また、一目見て懐かしさを覚えるパッケージ、つまりはブランド力を活かしながらも、時代の流れを読み取り、アプローチ方法を転換させた好例といえるのではないだろうか。
大人の手書き習慣に「サラサグランド」「大人Campus」
ジェルインクの書き心地はそのままに、「オトナ仕様」のデザインに進化した「サラサグランド」
思い返してみれば、学生時代は文房具の使用頻度が高かっただろう。しかしペンや手帳などは社会に出てからも使う人も多く、就職祝いなどで大人になった証として良い筆記用具を持つ人も多いかもしれない。これまでそのような場合に選ばれる高級筆記具メーカーではなく、普段使いの文具を揃えていたメーカーにも、「大人化」の傾向が見られる。
例えばボールペンの「サラサ」シリーズ。2000年の発売当初は学生だった消費者が大人となったいま、「オトナ仕様」の「サラサグランド」を3月9日から発売する。金属製のボディや、万年筆のインクのようなシックな色合いのビンテージカラーインクを使用するなど、今までの製品とはひと味違った高級感が漂う。
こちらは、初代サラサ。筆箱の中に必ず1本入っていた人も多いのでは。
さらにCampusノートからも大人仕様の「大人Campus」シリーズが登場している。キャッチコピーは、「学生時代、いつも傍らにあった『キャンパスノート』が大人っぽくなって、再び私たちの前に現れた。」だ。学生時代は主に学習用として使用していたノートが、大人になるにつれ用途が多様化することに目をつけた。図や文章を記録するにはドット入り罫線ノート、スケッチやマインドマップの用途で使いたい人には無地ノートを、と様々な様式のノートをラインナップしている。
昔使っていた馴染みの商品には、信頼と安心感があり、ついつい手にとってしまいたくなる。その商品が現在の自分に見合った商品へと進化していたらなおさらだ。昨今は前田裕二の著書「メモの魔力」のベストセラー化を受けて、作中に登場するメモ帳とペンが発売されるなど、紙とペンで手書きする習慣を見直す大人も多い。懐かし文房具の「オトナ版」は、そうした層が新たに文具を購入する際の入口となりやすいのではないかと思う。